脇のアテローム治療を徹底解説~治療前に確認すべき4つのポイント~

はじめに

普段はあまり気にすることのない脇の下ですが、しこりを見つけてしまったときにこんなことに悩みませんか。

「なにかリスクの高い病気だったら怖いけど、何科に行くべきか分からない」
「しこりを触っても痛くないし、ただなんとなく気になって邪魔」

もしかしたらそのしこりはアテローム(粉瘤)という皮膚疾患の可能性があります。アテロームは皮膚のどこにでもできる疾患ので、脇の下に生じても全く不思議ではありません。

しかし、脇の下にはアテローム以外にも、さまざまなデキモノが発生します。今回の記事では、

① 脇の下にできるしこりの種類
② アテロームと普通のしこり見分け方
③ アテロームの適切な治療法

など、脇の下のしこりについてとことん解説していきます。この記事を読んで脇の下のしこりについての理解を少しでもしていきましょう。

脇の下にできるアテロームとは

アテロームとは皮下に溜まった老廃物のこと

脇の下には、さまざまなしこりやデキモノが生じることがありますが、中でも多くみられるのはアテローム(粉瘤)です。このアテロームは、皮膚の下に「嚢胞」(のうほう)と呼ばれる袋ができてしまい、皮脂などの老廃物が溜まっていくデキモノです。

種類としては、良性腫瘍に分類されます。このアテロームによって、脇の下に数ミリから数センチ程度のしこりが発生します。また、袋の中の老廃物が何かの理由で感染すると炎症を起こし、わきの下でも赤く腫れたり、臭いや痛みなどが発生したりすることもあります。

アテロームは脇以外だとどんなところにできるのか

アテロームは脇の下に限らず、皮膚であれば頭や腕、首など、皮膚のあらゆる場所に発生する可能性があります。中でも特に耳や背中には、アテロームが生じやすいといわれています。

ただし、アテロームが発生する原因は今でもよくわかっていません。したがって、これといったアテロームに対する予防法は残念ながら存在しません。

アテロームを放置した際の3つの危険

アテロームは悪性の腫瘍ではないため、絶対に手術をしなければいけないということではありません。しかし放置することによって以下のような危険もあります。

① 化膿や炎症を起こす
② 肥大化してくる
③皮下の健康な部分と癒着してしまい手術が困難になる

炎症を起こしてから病院に駆け込む人も多いですが、この段階では、手術ですぐに除去するということは難しいケースもあります。炎症している患部は、炎症を抑えてからなければ手術が出来ないからです。痛みが生じていない時であれば簡単な切除で済みます。違和感や、気になっているうちに必ず近くの皮膚科に相談しましょう。

わきの下にできる色々な病気

脇の下にできるできものはアテロームだけではありません、ほかにも、脇の下には、いろいろな病気が発生します。アテローム以外では、脂肪腫と悪性リンパ腫が代表的な症状です。

脂肪腫は皮下に老廃物ではなく、脂肪が溜まった疾患

脂肪腫は皮下にできる良性の腫瘍です。アテロームと同様に、体のあらゆる部分にできますが、特に首や肩、背中に多く発生します。もちろん脇の下にも生じます。これといって自覚症状なく、触ると普通のデキモノと変わりはありません。

良性の腫瘍なので悪化することはないですが、痛みや邪魔になるなどの弊害がある場合には、手術で除去することも可能です。

発熱や体重の減少も見られる悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、触っても動かない「しこり」や、異常に固いデキモノがあった場合に疑う病気です。なお、悪性リンパ腫は、脇の下のしこりのほかに、発熱や体重の減少などが発生することがあるので、これも判断の材料となります。

なお、悪性リンパ腫は通常、痛みを感じることがありません。したがって、痛みがあるから悪い病気で、痛みがないからたいしたことのない病気、というわけではないということは覚えておいてください。

大きな危険もある乳がんのリンパ節転移

乳がんのリンパ節転移も、脇の下のデキモノとして発生することがあります。乳がんの手術をした後や、乳がんで治療中に、脇の下にデキモノなどが感じられたら、すぐに治療を受けている病院で相談をするようにしましょう。

また、脇の下のデキモノで痛みと痒みが併発している場合には、帯状疱疹(たいじょうほうしん=ヘルペス)や毛嚢炎(もうのうえん)などが考えられます。

このように、アテローム以外にもいくつかのデキモノが脇の下には発生します。良性悪性それぞれありますので、自分で判断することなく、少しでもおかしいなと思ったら専門医に診断を受けましょう。

脇の下にできたアテロームの2つの治療方法

脇の下のできものがアテロームだった場合には、治療法は2つです。

炎症を起こしてしまっている場合は抗生物質で炎症を抑える

患部が炎症を起こしてしまっている場合は、アテロームを切開して、中に溜まっている膿を排出します。さらに、炎症抑えるために飲み薬や塗り薬の抗生物質を使います。

これでも炎症が治まって手術可能な状態になるまでに、1カ月から2カ月はかかってしまいます。こうなってしまわないためにも、痛みが生じる前に病院へ行くことが重要です。

炎症を起こしていなければ、手術で根本から治療する

もうひとつは、手術です。この場合には、アテロームを丸ごと切除します、炎症を起こしていない、または、炎症を起こしていたアテロームが手術できる状態になったら、嚢胞を除去します。アテロームが小さければ、最短で5分から10分ほどで終わる簡単な手術です。

このように、アテロームが炎症を起こしているか否かで、対処が随分と変わってきます。デキモノがちょっと気になる程度で病院に行くことは、決して恥ずかしいことでありません。重症化して何カ月も治療に時間を費やすことを考えれば、早急に治療を受けて、綺麗に除去してしまいましょう。

ちなみに、これが悪性リンパ腫だった場合には、放射線治療や抗がん剤などを投与することになります。手術では治りません。また、脂肪腫は良性腫瘍なので基本的に除去する必要はないのですが、希望によっては除去することも可能です。

まとめ

脇の下にできたアテローム。場所が場所だけに、病院に行くのが恥ずかしいという気持ちになるかもしれません。しかし、専門医は毎日のように同じような症例を見ているので、何も恥ずかしがる必要はありません。

むしろそのまま放置して大きく腫れてしまったり、痛みが生じたりしてから行く方が、何度も通院することになるため手間がかかってしまいます。

脇の下のデキモノがアテロームかもしれないなと思ったときには、気軽に専門医を受診してください。

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