2つの粉瘤の手術を解説!すぐわかる部位別手術費用を簡単紹介

はじめに

顔や首、お尻などに赤っぽいできものができていて、次第に大きくなるのが気になるという方、それは粉瘤(アテローム)かもしれません。粉瘤は、身体のどこにでも発生しうる良性腫瘍です。そのまま放置していても生命には影響ありませんが、炎症を起こしてしまうと、激しい痛みを引き起こすこともあります。粉瘤は自然に治癒することがなく、手術以外に完治する方法はありません。
ここでは、粉瘤の手術内容や気になる費用について、くわしくご説明していきましょう。

粉瘤は手術しないと治らない

粉瘤(アテローム)は、身体のどの部位にも生じうる良性腫瘍のことです。表皮の下にできた袋の中に、皮脂や角質などの老廃物がどんどん溜まっていくことで生じる疾患です。さほど大きな症状があるわけではなく、命にかかわるようなものではありませんが、開口部から入り込んだ細菌などが悪さをすると炎症を起こし、強い痛みを感じることもあります。
粉瘤をそのまま放置していると、老廃物がどんどん増え、粉瘤も徐々に大きくなってしまいます。自分で粉瘤をつぶして袋の内容物を取り出したとしても、袋状になっているもの(嚢胞)を取り除かないことには、何度も再発してしまいます。さらに、自分で傷つけた皮膚から細菌が入り込み、ひどい炎症を引き起こしたり、内部の膿を広げることで粉瘤の周囲にも炎症が広がる可能性があります。粉瘤を完治させるためには、嚢胞と内容物を取り除く手術を受けねばなりません。
初期の粉瘤の段階では、しばらく様子を見ることもありますが、悪化したり粉瘤が大きくなる前に手術を受けることで、感染や痛みなどのリスクを軽減できます。粉瘤に気づいた段階で、できるだけ早めに皮膚科などを受診するようにしましょう。
粉瘤治療のための手術は主に、「小切開摘出術」と「くり抜き法」の2種類があります。医師は、粉瘤の状態や大きさなどから、どちらの治療法を選択すべきかを判断してくれます。自分が納得できる治療のためにも、しっかり説明を受けてください。

切開した部分から嚢胞を取り出す手術

手術を受けるというと「何日か入院する必要があるのか」と心配になるかもしれませんが、おおよその場合、粉瘤の治療は日帰り手術ですみます。上に挙げた2種類の手術方法のうち、「小切開摘出術」は、粉瘤ができた部位の皮膚をレモン型に小さく切開し、その切開部位から粉瘤の袋ごとピンセットで取り出すという方法です。手術にかかる時間は、15分から30分ほど。手術中は局所麻酔が施されているので痛みはありませんが、縫合したところは術後数日間にわたって痛む可能性があります。
小切開摘出術のメリットは、しっかり縫合するので、手術した箇所が早めに治癒することです。抜糸するまでに、顔の粉瘤を除去するケースでは1週間、顔以外の部位のケースでは1週間から10日ほどですみます。その後、1年ほどたてば、傷跡もほとんどわからなくなります。
できるだけ早期に手術を受けるようすすめられるのは、炎症などのリスクを軽減すると同時に、切開しなければならない部位を最小限に抑えるためです。切開する部位が小さくてすむと、のちのちの傷跡も残りにくくなるからです。
また、小切開摘出術は炎症を引き起こした粉瘤の手術にも対応可能なため、粉瘤の治療に際して、もっともよく選択される治療法でもあります。

特殊なパンチで内容物を絞り出す手術

小切開摘出術に比べると、近年になって一般的になってきたのが、「くり抜き法」と呼ばれる手術です。これは、粉瘤がある部位の表皮に特殊なパンチを使って穴をあけ、嚢胞の内容物を絞り出していくというものです。内容物を全て出し切ってしまってから、その袋である嚢胞そのものも取り除いていくので、再発を防ぐことができます。
くり抜き法の術中は、小切開摘出術と同じく、局所麻酔を施します。このため、術中に痛みを感じることはありません。また、手術時間も比較的短くてすみます。平均で15分から30分ほどだとされていますが、中には5分ほどで手術を終えるケースもあるほどです。くり抜き法で内容物を絞り出すために開ける穴は、ごく小さなものですみます。このため、術中はもちろん、術後にもさほど痛まないのがくり抜き法のメリットのひとつです。経過が順調なら、手術後の通院すら必要ではないとする医院も多数あります。傷跡も小さいので、よくよく目を凝らさないと傷跡がわからないというケースも多数です。
ただし、くり抜き法で手術した後、縫合せずにすませようとする場合は、傷口が完全にふさがるまでに2週間から3週間ほどかかることもあります。小切開摘出術に比べると、傷口の治りという点では若干遅れをとることになります。

部位別の手術の平均費用とは

粉瘤の手術を受けようとする場合、保険診療と自由診療のいずれを選択するかで費用は大きく異なります。形成外科や美容皮膚科、美容外科などでは自由診療で粉瘤の手術を行っているケースが多数あります。それぞれの医院が独自の基準を設けて価格を設定しているため、ここでは、保険診療の範囲で手術を受ける場合を想定して、部位別の平均費用を見ていきましょう。
保険診療における粉瘤の手術においては、粉瘤ができた部位と、その大きさによって費用が決められています。
頭部や頸部、顔面、肘から手の指先、膝から足の指先までは、よく人の目に触れる場所です。これらの部位に粉瘤があり、手術で取り除く場合と、それ以外の部位の粉瘤とでは、費用が異なります。人の目に触れやすい部位に粉瘤がある場合は、それ以外の部位と比べて、費用がかかります。
また、粉瘤の大きさを、2cm未満と4cm未満、4cm以上の3つに分け、粉瘤が小さければ小さいほど費用が安くてすむように設定されています。
小切開摘出術とくり抜き法のいずれにおいても、3割負担の方の場合、人目に触れにくく小さな粉瘤の除去費用に5,000円程度、人目に触れやすく大きな粉瘤の除去費用に15,000円程度かかるとお考えください。こうした手術費用に初診料や処置料、検査費用などが加算され、10,000円から20,000円ほどかかるケースが多数です。

まとめ

粉瘤の症状が現れた場合、皮膚科や形成外科、美容外科などで治療を受けることができます。治療方法としては主に2種類あり、小切開摘出術もしくはくり抜き法で、再発しないように嚢胞を取り除いていきます。ただし医院によっては、保険診療ではなく、自由診療扱いのこともありますので、事前に尋ねておきましょう。
粉瘤は、きちんとした治療を行なえば、再発を防ぐことができます。のちのち問題を起こさず、再発させないよう、自分の状態や治療法などをきちんと説明してくれる医院を見つけるようにしましょう。

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