傷跡が残る?アテローム手術を徹底解説~くり抜き法のメリットとは~

はじめに

この記事はこんな方におススメ

アテロームの治療法が知りたい

アテロームの手術で手術痕が残るものがないか心配

アテロームのくり抜き法はどんな手術法なのか気になる

アテロームとは、皮膚科ではよくある疾患のひとつで、ニキビや脂肪のかたまりと間違われてしまうことが多い良性の腫瘍です。痛みやかゆみがなくしこりのようなものができるのが特徴です。別名を「粉瘤」と言い、こちらのほうが耳なじみのあるという人もいるでしょう。

この記事では、アテロームの治療で用いられる「くり抜き法」という術式についてご紹介します。痛みを伴う手術なのか?傷痕はどのくらい残るのか?など、手術を受ける際に不安に思う点を中心に見ていきましょう。

この記事を読んでわかること

くり抜き法のポイント

くり抜き法は傷みやすい手術なのか

くり抜き法の手術で残る傷跡とは

アテロームはどんな皮膚疾患なの?

アテロームとは、別名「粉瘤」と言われる良性の皮膚腫瘍のことを言います。[/box]

アテロームが大きくなる仕組み

よくニキビや脂肪のかたまりと間違われることが多いのですが、実はニキビとはまったく違うものです。アテロームができるのは、なんらかの原因で皮膚の下に表皮と同じ構造を持った袋状の構造物ができることが関係しています。最初は米粒ほどの小さいものですが、新陳代謝によりはがれ落ちる角質(垢)や皮脂がどんどん袋の内部に溜まっていき、腫瘍が大きくなっていきます。

残念ながら、粉瘤は自然治癒する可能性は非常に低いと言えます。粉瘤の中の内容物は蓄積されているのもなので、体の外に排出することが難しいのです。アテロームをニキビと間違えたり、単なるデキモノだと勘違いしてつぶしてしまうとする場合がありますが、それは間違った対処法です。

アテロームの検査方法

アテロームの治療は、基本的には皮膚科などの専門病院に行き、まずは本当に「アテローム」なのかを調べて貰う必要があります。その診断は難しいものではなく、超音波機器などで袋の構造が何かを見れば比較的すぐに診断してもらうことができます。よくあるトラブルだからと自己判断せず、しっかりと診てもらうことで、早期発見・早期治療することがアテロームの治療ではとても大切なことです。

アテロームって悪性化することはあるの?

アテロームは「良性の皮膚腫瘍」と言われていますが、前項で述べたように袋の中に垢などが溜まっていき、どんどん大きくなっていく可能性があることが特徴です。

アテロームは悪性化するのか

おおきくなるにつれて悪性化を考える方もいるかもしれません。しかし、アテロームは基本的に悪性化することはほとんどないと言われています。ところが、ごくまれにアテロームが悪性化したという報告があるのも事実です。中高年齢層の男性のおしり部分に生じたものが悪性化することが多いと言われているので、もし心当たりがあるならば早めに受診することをお勧めします。

アテロームは身体のどの部分にでもできる可能性のある腫瘍ですが、顔・首・背中・耳の後ろなどによくできやすい傾向があります。ですから、何か変化を感じたら自分でつぶすなど対処しようとはせずに、専門医の診断を受けるようにしてください。病院で摘出してもらったものは病理検査をすることができるので、今できている腫瘍が悪性なのかをしっかり調べてもらうことができます。

もし、不安が大きいのであれば病理検査もお願いできるか事前に確認した上で、早めに処置するようにしていきましょう。また、アテロームが肥大化している場合は必ず皮膚科医に相談しましょう。

アテロームができたらどうすればいいの?

アテロームは自然に小さくなることはほとんどありません。腫瘍が大きくなるにつれて、中身を出せば治るかもしれないと思い、腫瘍を圧迫して中身を出そうとする人がいます。このアテロームが大きくなっている原因は、皮膚の内側に皮膚組織を持った袋ができており、そこに皮脂や角質がどんどん溜まってしまっているからです。つまり、根本的にこの袋自体を摘出しなければ完治することはまずありません。

アテロームの対処法の注意点

自分でどうにかして中身を出そうと腫瘍を刺激することで、炎症を引き起こしてしまい痛みを伴うこともあります。そうなると、治療にも余計に時間が掛かってしまうので、無理やり自分でどうにかしようとしないようにしてください。

大きな腫瘍になってしまうと外科的切除手術といって、メスを使って表面の皮膚ごと切り取ってしまわなければならないこともありえます。こういった手術は基本的には日帰りが可能ですが、アテロームができる場所によっては、できるだけ傷跡を目立たなくする必要があるでしょう。その場合、くり抜き法という比較的傷跡が小さくて済む方法があります。この術式は医師により対応できる範囲が変わってくるため、自分にあった術式かどうか診察の際に相談してみましょう。

「くり抜き法」のメリットとは

くり抜き法の最大の特徴は、傷跡が小さくて済むということです。しかも手術時間も短く、大きさによっては傷を縫わなくても良い場合もあります。日帰り手術も可能なので、忙しい人でも都合がつけやすい手術です。さらに痛みも従来の切開法に比べて非常に少ないのもポイントです。

くり抜き法手術の流れ

①切除を行うアテロームに印をつけます。
②局所麻酔をします。
③中身を出すために、専用のパンチでアテロームに孔をあけます。
④小さい場合はそのままアテロームをくり抜きます。大きい腫瘍の場合は、先に中身を出し小さくしぼんだところで袋を慎重に取り出します。
⑤腫瘍の大きさによって処置が違いますが、きれいに縫合して終了です。

注意点
アテロームが炎症を起こしている場合、くり抜き法での手術を断られることもあるようです。「くり抜き法」で治療をしたい場合は最寄りの皮膚科や形成外科などに問い合わせることが重要です。

くり抜き法が比較的簡単で誰にでもできるような紹介をしている病院がありますが、実際はしっかりとした技術が必要とされるものなので、注意しましょう。誤った方法でのくり抜き法では再発があったり、再治療になったりとトラブルに見舞われたという人も居るようです。病院を選ぶ方法として「皮膚腫瘍外科指導専門医」がいる病院やクリニックを選択するのもひとつでしょう。

まとめ

アテロームは良性とはいえ、放っておくと大きくなっていく腫瘍です。自分でつぶしても、原因となっている袋を取り出さなければ、何度でも同じことが起こります。再発の可能性が無いわけではありませんが、きちんと治療を行えばその再発率はグッと下がります。今行っている病院で不安があるならセカンドオピニオンという方法もあります。アテロームの摘出については、患者さんの意思が優先される場合がほとんどです。どうしても取りたいと思うなら、納得のいくまで説明を聞いて、最後までしっかり治療を続けるようにしてください。

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