首筋のしこりを治すには?首筋のアテローム(粉瘤)の注意点まとめ

はじめに

ある日突然首筋のできものが傷む。それはもしかしたら「アテローム」かもしれません。アテロームは、俗に「粉瘤(ふんりゅう)」とも呼ばれ、首筋だけではなく、顔や腕などにできる良性腫瘍です。

通常は傷みを伴うことがありませんが、何らかの理由で炎症を引き起こしてしまうと、傷みを伴うことがあります。そのまま放置していれば、やがては耐え難い傷みにまで発展します。ここでは、首筋のアテロームが傷む原因と対策を解説します。

痛みを伴うアテロームの発生原因

現在でもアテロームが発生する原因はよくわかっていませんが、何かの理由で古くなった角質や皮脂が皮膚の内側に溜まり袋状になってしまうことで「できもの」になってしまいます。

通常、アテロームは傷みを伴うことはありませんが、摩擦や圧迫などによって破裂してしまい、皮脂や古くなった角質が皮膚の中に散乱してしまうことによって、傷みや腫れを伴う炎症を引き起こしてしまいます。炎症が起こすと大きくなったり、赤く腫れたりして傷みが生じることがあります。このとき、熱感を伴うケースもよく見られます。

主に背中やお尻などの圧迫されやすい場所に傷みを伴うアテロームは生じやすいですが、首すじや腕など皮膚ならば場所を問わずに発生します。

普段はほとんど傷みがないため、炎症による傷みを感じてから初めてアテロームに気づくこともあります。なお、重症の場合には、発熱したり倦怠感が現れたりすることもあるので、注意が必要です。

細菌に感染することで炎症が起こる可能性もあります。ただでさえ嚢胞の中は細菌が繁殖しやすいので、外部から細菌が入ってしまうと繁殖が止まらず、場合によっては瞬く間にアテロームが大きくなってしまうこともあります。

なお、傷みを伴うアテロームであっても良性腫瘍であることに変わりありませんので、できるだけ早めに専門医の治療を受けることが重要です。

アテロームをつぶすのは危険

アテロームは絶対に自分で潰してはいけません。首筋のアテロームが気になって潰したり、引っ掻いたりして自分で対処しようとしても完治しないどころか、悪化する可能性が高くなります。不用意にアテロームを潰してしまえば、そこから細菌が入り込んで炎症を引き起こし傷みが生じることもあります。

アテロームを潰すと、中から脂のようなドロドロした塊が出て一時的に小さくなるので見た目には治ったように感じがしますが、実際には嚢胞が残っているため、老廃物が溜まり再発してしまいます。細菌に感染したアテロームは「感染性粉瘤」や「炎症性粉瘤」などと呼ばれます。こうなってしまうと、耐え難い傷みが生じることもあるので注意が必要です。

アテロームはいくら潰しても再発しますので、完治のためには手術によって嚢胞を除去しなければいけません。しかし、傷みが生じた状態では手術ができないことがあります。

炎症によって傷みが生じているアテロームを手術で取り除くためには、まず炎症を鎮める必要があります。このように炎症が生じてしまうと余計な時間や手間がかかってしまいます。炎症を起こしていないアテロームは簡単に手術で治せるので、自分で何とかしようとする前に、必ず専門医の診察を受けましょう。

首筋のアテロームを除去する方法

アテロームの除去手術は、局所麻酔を使用した10分から15分ほどの手術で完了します。手術の内容も簡単なものなので、日帰りでの手術が可能です。なお、シャワーは翌日から浴びることができるため安静期間も長くありません。

ただし、アテロームが炎症を引き起こしている場合には、手術の前に抗生物質などを用いて炎症を鎮める必要があります。軽度の炎症は薬で鎮まることもありますが、重症の場合ほとんど効果がなく、傷みや腫れが持続してしまいます。やがてアテロームの炎症は収まりますが、治ったわけではありませんので、この時点で手術をすることになります。自壊するまでは数カ月かかることもあります。

できるだけ早く手術をするためには、アテロームに切り込みを入れて、中に溜まっている膿を取り出す必要があります。膿を出しても嚢胞は残るので、かなりの高確率で再発します。

いずれにしても、アテロームを完治させるには手術による除去が必要不可欠です。炎症さえ起こしていなければ簡単な手術で治るので、首筋の「できもの」が気になり始めたら、できるだけ早く適切な治療を受けましょう。炎症を起こしているアテロームの自然治癒は期待できないので、再発を防ぐためには外科的な治療以外に方法はありません。

アテロームに似ている首筋のできもの

首筋にできるアテロームと見た目や症状が似ている疾患をみてみましょう。

・ニキビ

ニキビといえば顔にできるというイメージがありますが、実際には全身どこにでも生じます。初期のアテロームと区別がつきにくいですが、ニキビとアテロームでは大きさが異なります。

ニキビの大きさはせいぜい数ミリですが、アテロームの大きさは5センチ以上になることもあります。また、アテロームの中心部には嚢胞と繋がっている開口部があります。俗に「ヘソ」と呼ばれている物で、酸化しているため黒点のようになっています。ニキビには「ヘソ」がありません。

ニキビとアテロームでは手触りも違います。アテロームはつまめるほどの塊になりますが、ニキビは通常それほどの塊にはなりません。さらに、アテロームは異臭を伴うことがありますが、ニキビには異臭がありません。

・脂肪腫

皮下脂肪が増殖してしまった良性腫瘍です。放置しておいても特に害はありませんが、見た目や気になるという場合には、手術による除去も可能です。通常、傷みはありません。アテロームと違って「ヘソ」がありませんが、そのほかの見た目はアテロームとよく似ています。

・悪性リンパ腫

悪性腫瘍なので治療が必要になります。数か月で突然大きくなった、あるいは、触ると硬さを感じるなどの特徴があります。急激に成長した場合には傷みを伴うこともあります。また、発汗や体重減少といった症状もみられます。

まとめ

首筋のアテロームは放置することで悪化する可能性が高いので、早急な専門医の診断が必要です。大きくなってから、あるいは傷みが生じてから通院したのでは、アテロームの傷みが長期化してしまったり、手術の開始までに時間がかかったりしてしまいます。

首筋の「できもの」の種類を自分で判断することは大変危険です。傷みが生じている場合にはすでに炎症が起きている可能性があるので、すぐにでも専門医の診断を受けるようにしてください。

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