目次
前説
特に痛みや赤みはないけれど、出来てしまった場所によってはかなり目立ってしまう粉瘤。自覚症状がほとんどないことが多いこともありついつい
「しばらく様子を見ていよう」
「このまま放っておけばそのうち消えるかもしれない」などなど、そんな風に思いがちです。
しかし、実は粉瘤は自然治癒するものではないのです。良性の皮膚腫瘍であることが多い粉瘤ですが、取り除かずに放置していて、化膿してしまった場合には、切開や手術が必要となる場合があります。
この記事では、粉瘤が化膿した場合や、治療法についてまとめています。
1. 粉瘤(ふんりゅう)は自然治癒せず化膿することも
粉瘤があると、まるでコブのように皮膚が盛り上がってしまうため、気になって仕方がないという方も多いのではないでしょうか。痛みやかゆみ、赤みなどの症状が特にない場合は、「このまま少し様子を見てみよう」「時間が経ったら自然に消えるのではないか」と思ってしまいがちです。
しかしながら一度出来てしまった粉瘤は、時間の経過とともに消える、つまり自然治癒するということはまずありません。もちろん、粉瘤があっても全く症状や違和感がないという場合には、何が何でも治療したほうがいいというわけではありません。ただ、自然治癒するものではない以上、常に化膿したり炎症を起こしたりする可能性があり、気にしながら過ごす必要が出てきます。
粉瘤は毛穴の上部がめくれ上がったような状況になり、それが袋のようなものを形成し、そこに本来、肌から剥がれ落ちるはずだった皮脂や老廃物が溜まることによって出来るものです。出来てしまった粉瘤は、何も処置をせず放置しておくと、皮脂や老廃物が排出されない状態のまま、どんどん大きくなっていきます。
粉瘤は直接生命を脅かすようなことはほとんどない疾患なので、見た目だけの問題と捉えられがちです。しかしながら、もし何らかの原因で粉瘤が炎症を起こしたり、化膿してしまったりした場合には、出来るだけ早く切開や手術を受ける必要があります。
2.粉瘤(ふんりゅう)の根本的な治療には手術がベスト
現時点では、粉瘤が出来るメカニズムはまだはっきりと解明されておらず、ウィルスが関係している、あるいはケガなどがきっかけで出来るともいわれています。粉瘤は、ほとんどの場合、良性の皮膚腫瘍です。そのため、なにがなんでも治療して取り除かなければならないのです。
しかし、赤みを持ったり化膿したりした場合(これを「炎症性粉瘤」といいます)には、できるだけ速やかに医療機関を受診する必要があります。医師の診察を受けて処置が必要と判断された場合は、その場で局所麻酔をした後、皮膚を切開して、溜まっている膿みを出しきる処置を行います。その後、炎症が落ち着くまでの一週間程度の間は、痛み止めや抗菌薬を服用しながら毎日通院して洗浄してもらう必要があります。
また切開したことによって、溜まっていた膿みは全て出しきることができたとしても、皮膚にまだ腫瘍が残っている場合には、後日改めて手術や追加治療が必要になることもあります。化膿しているわけでもなく、炎症を起こしているわけでもないけれど除去したい、あるいは見た目的に気になってしまう、という場合には、医師と相談の上、タイミングを見ながら手術をするという方向で話を進めていくことになるでしょう。
3. 粉瘤(ふんりゅう)の手術費用の概算はどのくらい?
粉瘤を手術や切開で取り除くことになった場合、一体どのくらいの費用が必要になるのでしょうか。健康保険は適用になるのかどうか、ということについても気になる方も多いでしょう。粉瘤の診察は基本的には皮膚科で行いますが、場合によっては形成外科や美容外科、美容皮膚科でも診てもらえる場合があります。
一番専門的に診察してもらえるのは皮膚科で、そのしこりが本当に粉瘤なのか、ほかの疾患の可能性はないかということも併せてチェックしてもらえます。また、切開や手術費用についても、皮膚科で受けた場合には健康保険が適用されることがほとんどです。形成外科や美容外科、美容皮膚科でも、粉瘤の診察や切開・手術などの処置はしてもらえますし、手術跡がより残りにくい術式を取っているところもあります。
ただしここで気を付けなければいけないのは、形成外科や美容外科の場合は「見た目を良くするための治療である」と医師が判断した場合、健康保険適用外となってしまう可能性があることです。粉瘤の手術費用の概算は、取り除く腫瘍がどのくらいの大きさであるかによって異なります。
たとえば、健康保険適用の場合で保険点数だけで計算してみると、1センチ程度のものであれば約5,000円、10センチ程度の大きなものであれば約14,000円前後とかなりの開きがあります。この手術費用に加えて、初診料・再診料・投薬料・検査料などが加算され、その合計金額の3割が実際の支払額です。健康保険が適用されない場合は、自由診療扱いとなるため、かなり高額になると考えておいたほうがよいでしょう。
4. 粉瘤(ふんりゅう)の手術跡は残る?
粉瘤で切開や手術を受けた場合、身体にメスを入れることから、手術跡が残るのかどうかといった点も気になるところです。まして顔や首など目立つ部分に出来てしまった場合は、女性や子供だけでなく、男性でも心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、現段階の医療技術では、残念ながら全く手術跡が残らないとはいえません。ただし、最近ではかなり跡が残らないようにできる術式も出てきています。たとえば、以前までは粉瘤の手術といえば、腫瘍部分の皮膚の上をひし形に切り抜く方法しかなかったため、数センチ単位での手術跡が残ってしまうのは避けられませんでした。しかしながら最近では、腫瘍の上に数ミリの穴を開けるだけで済む「くり抜き法」と呼ばれる術式が主流になってきています。
もちろん、切開や手術をする範囲が小さくなったからといって、全く手術跡が残らないとはいえません。たとえば、いわゆるケロイド体質の方や、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と呼ばれる状態になってしまった場合には、手術跡は残ると考えていたほうがよいでしょう。どちらの術式の場合も切開や手術を受けた後1~2週間の間には、手術跡が少しずつ薄くなっていき、半年~1年後にはあまり気にならなくなる方が多いようです。
5.まとめ
- 粉瘤は自然治癒しないため、治療しないままほっておくとそのまま化膿したり炎症が起こる可能性がある。
- 粉瘤の治療法は今のところ手術のみで行われている
- 皮膚科での治療であれば、保険が適用される。
- 自由診療扱いになる場合は高額な治療費になる可能性がある。
- 手術跡は半年以降にはにはほとんど気にならなくなる。
粉瘤の費用は皮膚科で治療するのか、形成外科や美容外科で治療するのかによって大きく変わる可能性があるようです。さらに、皮膚科での治療であっても化膿していたり、大きさよって治療費が変わる場合があります。そのため必要と感じなくても、痛みやかゆみがなくしこりが小さいうちの治療がもっとも負担が少ないため、違和感を少しでも感じたらぜひとも診察に行くことをお勧めします。