粉瘤のくり抜き法とは?メリットやデメリットを紹介

はじめに

粉瘤の治療で悩む方の中には
「粉瘤の治療法でくり抜き法って聞いたけどどんな治療か詳しく知りたい。」
「お医者さんにくり抜き法を提案されたけど不安」という方も多いのではないでしょうか。
粉瘤の治療方法のひとつであり、最近選択されることが多いくり抜き法。粉瘤は自然に消えてなくなるものではないため、積極的な治療には手術が不可欠です。しかしある程度の手術跡が残ることは避けられないことがネックになっていました。
しかし、実はくり抜き法は、手術跡が最小限で済み健康保険も適用になることから、選ぶ方が増えてきているのです。
この記事では、粉瘤のくり抜き法による手術についてポイントごとにまとめて紹介しています。

粉瘤の治療方法とは?

 全身どこにでもできる可能性があり、特に顔や頭にできた場合はとても目立ってしまう粉瘤。粉瘤の大きさは、小さなものは数ミリ程度ですが、大きなものになると10センチを超えてくるものも珍しくありません。

 ある程度は体質なども関係してきますが、いつでも誰にでも起きる可能性があるのが粉瘤の怖さです。といっても、粉瘤はその多くは良性の皮膚腫瘍なので、生命に関係してくることはあまりないため、その点ではあまり神経質になることはありません。

 粉瘤は、本来肌の自然なターンオーバーに伴って剥がれ落ちるはずだった皮脂や角質が、毛穴の上部がめくり上がってできた袋状のものに取り入れられてしまうことによって起きる皮膚疾患です。そのような性質を持っているため、手術や切開などで内容物を取り除かない限りはどんどん溜まっていく一方のため、粉瘤も大きくなっていくことになります。

 残念ながら、粉瘤は破裂した場合を除いて、自然に消えてなくなるということはほとんどありません。そのため、治療には袋部分に溜まっている内容物を取り除く手術が必要になります。美容に気を使っている女性や、顔や頭、首などの目立つ部分に粉瘤ができている場合には、手術跡が残ることをとても気にしてしまって、悩んでいる方も多く見受けられます。

くり抜き法ってどんな治療方法?

 粉瘤の中に詰まっている内容物を取り除かなければ、根本的な治療にはなりません。そのためには、手術や切開をする必要があります。通常、切開は化膿を起こしていてすぐにでも膿みを排出させなければいけないときに行われますが、後日あらためて手術を受ける必要があることがほとんどです。今までの粉瘤の手術は、個人差はあるものの手術跡が残ってしまう術法しかありませんでしたが、これからご説明するくり抜き法が確立してからは、状況が少し異なってきています。

 くり抜き法とは、その名の通り、粉瘤をくり抜くようにして除去する治療方法のことです。具体的には、粉瘤の中心(へそ)部分からディスポーザブルパンチという筒状のメスを刺し入れて、内容物を取り出します。通常の除去手術の場合はそのあとに縫合を行いますが、くり抜き法の場合は縫合が行われないことも珍しくなく、クリームや軟膏を塗りながら自然に傷口がふさがるのを待ちます。

 また、今までは粉瘤が化膿したり炎症を起こしている場合には、手術は行えず切開するしか方法がありませんでした。しかしながら最近ではくり抜き法を応用させることによって、炎症を起こしている粉瘤の除去手術ができる医療機関も出てきています。(医療機関や粉瘤の炎症の程度によってはできない場合もあります)

メリット・デメリットも知っておこう!

 くり抜き法が確立したことで、粉瘤の手術は身体により負担をかけない低侵襲なものになりました。では、くり抜き法のメリット・デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。

くり抜き法のメリット

  • 手術跡が最小限に抑えられる

    くり抜き法で行う手術では、ディスポーザブルパンチという筒状のメスが使われます。このメスは直径4ミリほどしかないため、手術跡も最小限で抑えられます。
  • 手術時間が短くて済む

    くり抜き法の手術時間は、早ければ数分で終わることも珍しくありません。
  • 手術後の縫合を行わなくても大丈夫な場合が多い
  • 炎症を起こしている粉瘤でも手術できるため、1回で根治できる場合もある(炎症の程度や医療機関によって異なります)

    くり抜き法は炎症の程度にもよりますが、1回の手術で根治できる場合もあります
  • 健康保険が適用される

    粉瘤の手術方法には通常の手術もありますが、より傷口が残りにくいくり抜き法での手術でも健康保険が適用されるため、経済的な負担が少なくて済みます。

くり抜き法のデメリット

  • 縫合しなかった場合は、傷口がふさがるまで時間がかかる(平均約2~3週間)
  • 足の裏にある粉瘤や、内容物が固形化している場合にはできない
  • 5センチを超えるような大きな粉瘤は手術できない
  • 癒着が強かったり、何度も炎症を繰り返して固くなっている粉瘤は取りきることができない
  • 医師の熟練度によって差が出やすい

くり抜き法で治療したら再発しない?

粉瘤で悩んでいる方の多くが訴えることに、再発への心配があります。基本的には、手術で粉瘤をしっかり取り切れた場合には、再発する可能性はほとんどないとされています。しかしながら、粉瘤が何度も化膿や炎症を起こしている場合や、内容物があちこちに飛び散ってしまっている場合には、再発する場合もあるようです。

 ではくり抜き法で行った手術の場合、再発はあるのでしょうか。
 結論からお伝えすると、残念ながら、くり抜き法で手術した場合は通常の手術よりも再発する可能性は高いといわれています。通常の手術では粉瘤の袋の部分を皮膚からはがしてしまって丸ごと摘出しますが、くり抜き法ではきわめて小さな穴を開けることによって粉瘤を取り除く、という点にあります。そのため少しでも内容物が残ってしまう場合には再発の可能性もないとは言えません。ただし、その差は決して大きいものではなく、くり抜き法でもきちんと粉瘤や内容物を取りきることができていれば、そこまで心配する必要はないといえるでしょう。

どちらの手術を行っても、全く手術跡が残らないということはありません。ただし通常の手術の場合は、粉瘤部分の2~3倍前後はメスを入れる必要があるため、残る手術跡も大きくなりますが、くり抜き法の場合は最小限の手術跡で済むというのが大きな違いといえます。

まとめ

  • 粉瘤は自然治療が難しいため完治には手術が必ず必要
  • くり抜き法は手術跡がニキビ跡程度で済む
  • 皮膚科であれば、くり抜き法での治療は保険適用範囲内になる。
  • くり抜き法の手術時間は早ければ数分で終了する。

粉瘤は非常に身近な皮膚疾患のひとつ。特に赤みや痛みもなく炎症も起こしていない場合には、取り除くための手術を受けないでいる方も珍しくありません。しかしそのまま放置しておくと、自然治癒しないばかりでなく、どんどん大きくなっていき、場合によっては化膿や炎症を起こしてしまうこともあります。

そうなってしまわないために、従来の手術、あるいは短時間で終わり、手術跡も最小限で済むくり抜き法で粉瘤を取り除いておくのがベストといえるでしょう。

Top