ピアスは開けてもいい?耳たぶのしこり(粉瘤)とピアスの関係を徹底解説!

「知らない間に耳にしこりができてたけど放置してもいいのか知りたい」
「しこりが近くにあるけどピアス穴をあけてもいいのかな」
「耳の近くのしこりの正体が知りたい」

耳のしこりについてこんなお悩みをお持ちではないですか。

実は、その耳にできたしこりの正体は、粉瘤(ふんりゅう)(別名:アテローム)という良性の皮膚疾患かもしれません。粉瘤は新陳代謝によって排出される老廃物が皮下にたまってしまうことで発生してしまうしこりです。

粉瘤そのものは耳だけではなく体のどこにでも発生してしまう可能性があります。特に、耳の後ろ側や耳たぶは発症しやすいとされています。発生初期の粉瘤は痛みやかゆみもないのでついつい放置してしまいがちです。

しかし、粉瘤は放置しても自然治癒することがなく、粉瘤の除去には必ず手術が必要です。さらに、粉瘤を放置しておくことで炎症を起こして痛みを伴う危険性もあります。

この記事では、そんな耳の粉瘤について以下の3点を解決していきます。

この記事を読んでわかること

耳に粉瘤ができてもピアスはできるのか

耳にできる粉瘤に似た2つの皮膚疾患疾患

耳たぶの粉瘤の治療にかかる費用と治療法

ピアス穴が耳の粉瘤の原因になるのか

耳にピアスを開ける人は男性女性を問わず増えてきていますが、粉瘤とピアス穴にはどのような関係があるのでしょうか。

耳の粉瘤が発生してしまう原因

ニキビとは違って粉瘤は、皮膚の中で袋状になっています。そのため、皮下の袋を取り除かない限り発症してしまいます。何度でも中に細菌が入り込んで化膿し、再発を繰り返します。

また、ピアスの耳トラブルの中にはピアス穴の周囲が固くなってしまうことがあります。その原因は2つのパターンに分けられます。

①新しくできた皮膚が耳たぶの中で固まってしまいしこりになっているケース

ピアスなどを異物だと判断し、新しい皮膚が固まってしまうとこのようなケースになります。

死んだ皮膚の細胞がピアス穴を開けたときに中に入り込んでしまったケー

老廃物が垢などにならずに皮下に溜まってしまうとこのようなケースになります。粉瘤では②のケースが多いです。

粉瘤とピアスの関係まとめ

ピアス穴の周辺が固くなってしまうのは

  1. 新しくできた皮膚が耳たぶの中で固まってしまいしこり
  2. 死んだ皮膚の細胞がピアス穴を開けたときに中に入り込んでしまったケース
  • ピアスと粉瘤自体には直接的な結びつきはない
  • 粉瘤やしこりがある状態でピアスなどをするのは、ダメージや圧力がかかってしまうので控えるべき

ピアスやイヤリングでしこりが悪化することも

実は粉瘤とピアスには直接的な因果関係はないと考えられています。しかし、粉瘤や何かしらの皮膚疾患がある場合にピアス穴をあけたりすることで、

患部に圧力を加えたり
皮膚の中の嚢腫にダメージを加えてしまうこと

が十分考えられます。(参照サイト:あおよこ皮膚クリニック)

ピアス穴を開けたあとで急にしこりができた場合はまだしこりが小さかったとしても必ず専門の病院を受診するようにしましょう。

さらに、どんなに消毒をしていても、耳に穴をあけるということは細菌が入り込む可能性があるということを忘れないようにしましょう。 また耳のしこりは粉瘤ではない場合もあります。突然肥大化したり痛みが生じたりするようなら、早急に専門医を受診して下さい。

耳のしこりは自分で処理してはダメ

耳のしこりの炎症は潰そうとする圧力が原因

耳たぶに粉瘤ができてしまった場合、自分で潰して処置しようとするのは絶対にやめましょう。実は、粉瘤の炎症というのは細菌が入り込んで起こるのでなく、つぶしたりすることで粉瘤に圧力がかかってしまうことが炎症の原因といわれています。

耳たぶは触りやすい場所にあるので、ついつい潰したくなることもあるでしょう。しかし、自分の判断で中の老廃物などを排出させても必ず再発します。粉瘤は根本的な皮下の嚢腫を手術で摘出しない限りは自然治癒や、自己処理ができない疾患なのです。

耳の粉瘤の危険性については下の記事でまとめられています。

自己処理しても完治は不可能

ピアスの穴を開ける感覚で、針でつついて中の老廃物を出せば、一時的に皮下の袋状の中身が排出されるので、粉瘤は小さくなります。しかし、これで完治したわけではありません。

老廃物が溜まる袋が皮下に残っているので、そのままにしていれば再び袋のなかに垢や皮脂などの老廃物が溜まって、耳たぶの大きなしこりとなって再発します。

何度も自己処理をすると炎症を起こす危険もある

何度も自分で粉瘤をつぶしてしまうと、粉瘤の内容物が癒着性を持ってしまい除去手術が難しくなってしまいます。内容物を取り切ることができずに、再発を繰り返してしまう場合もあります。

耳たぶのコリコリとしたしこりは大きくなって、やがては赤く腫れあがってしまうでしょう。炎症がひどくなり、じっとしているだけでも痛みに耐えられなくなることもあります。

最終的には粉瘤は手術で除去することになるので、できるだけ粉瘤が小さな状態のうちに医療機関で診察を受けてください。

耳たぶにできる3つのしこりの種類

耳たぶや耳にできるしこりには、主3種類の疾患があります。

一般的なしこりの原因は粉瘤(ふんりゅう)別名;アテローマ

基本的に、耳たぶや耳の後ろにできるしこりの大半は、粉瘤(別名:アテローム)です。現在、自然に粉瘤ができてしまう原因は解明されていません。そのため粉瘤の治療には炎症を抑えるための抗生剤しかなく、根本的に粉瘤をなくすような治療法は現状手術のみです。

初期にはニキビと間違われることも多い粉瘤ですが、放置すれば炎症を引き起こして5センチから10センチほどにまで肥大化することもあります。

粉瘤は自然に治癒することはないので、耳たぶの粉瘤でも、完治させるためには手術による除去以外に方法はありません。

ピアス直後の場合に多い肉芽(にくが)

肉芽、または肉芽種と呼ばれるしこりは、ピアスが原因で生じるといわれています。人間の体というのは、体内に異物が入ると免疫システムが働きます。

この際に、異物を除去しようとして炎症反応を引き起こしますが、ピアスは金属でできているため、細菌などと異なり、うまく排除することができません。その免疫反応として肉芽が形成されてしまい、耳たぶなどにしこりとなって生じるのです。

肉芽の対策としては、ピアスを樹脂製のものに変えるなどの方法がありますが、症状がひどい場合には皮膚科などで肉芽を切除する必要があります。

(参考サイト:日本形成外科学会)

先天的なものが多い耳前瘻孔(じぜんろうこう)

粉瘤と同様に耳にできるしこりです。内容物が外部に排出されると異臭を生じることもあります。一度も細菌に感染したことがない場合には問題はありませんが、感染したことがある場合には再感染しやすい疾患です。

耳前瘻孔は先天性の病気なので、粉瘤とは治療法も異なります。耳瘻孔の治療では疾患の中の管状や袋状のものを全て取り去ります。

まれに耳の後の切開や大きな切開が必要になる場合もあります。手術後の傷は縫合し、抜糸はおよそ術後5日前後におこないます。

肉芽や耳前瘻孔等の耳にできやすい症状などについてはコチラの記事にまとまっています。

(参考サイト:日本形成外科学会)

耳たぶのしこりの治療費は?

耳たぶにできた粉瘤の治療ですが、どのような方法で費用はどのぐらいかかるのでしょうか。さらに治療に保険がきくのかまで紹介していきます。

耳たぶの粉瘤治療の費用

粉瘤がまだ小さな状態での除去手術なら、3割の負担で5000円前後、大きさによっては10000円程度となります。

また、皮膚科での治療であればほとんどの場合保険が適用されますが、形成外科や美容外科では保険が適用されなくなってしまう場合があります。

粉瘤が炎症した際の治療の費用

炎症が発生してしまうと、治療の方法が変わってくるので注意が必要です。粉瘤に炎症が生じてしまっている場合には、抗生剤等を使用して炎症を抑えなければいけません。

そのため、切開をして中の老廃物を取り出したり、抗生物質を使って時間をかけて炎症を鎮めたりしていきます。

早急に除去が必要な場合には、くり抜き法ではなく、小切開法で中身を取り出すこともあります。

いずれにしても、炎症が起きてしまうと簡単な手術も手間がかかってしまうことになります。なお、肉芽の場合には、保険の適用で 15000円前後の前後の手術費となります。

粉瘤治療について、大きさや部位別でわかるアテロームの手術費用についてはコチラの記事にまとまっています。

粉瘤手術の2つの方法

粉瘤の手術には、くり抜き法と小切開法と呼ばれる2つの治療法が存在しています。ここからはそれそれについて簡単に解説していきます。

くり抜き法

炎症が発生していない場合には「くり抜き法」と呼ばれる術式で、およそ 10分から15分で終わります。くり抜き法は粉瘤の中心部に特殊な医療器具を使用し数ミリの穴をあけ、そこから中の内容物を排出します。

小切開摘出術

患部よりも一回りほど大きな円で切開によって粉瘤の内容物を摘出していきます。内容物をすべて摘出することができるので、再発のリスクが比較的低い術式です。

くり抜き法に比べて、傷口等が大きくなってしまいます。最近は小切開摘出法よりもくり抜き法が一般的な術式です。

以下の記事に粉瘤の手術の内容(痛み・傷口等)については詳しくまとまっています。

まとめ:耳にしこりができたらピアスは控える

今回解説した内容について以下の5点を最後に紹介します。

①しこりがある際のピアスは細菌が入る恐れがあるので危険
②しこりは圧力が原因で炎症することがあるので触らない
③粉瘤は潰しても治らず再発しやすい
④粉瘤の治療費は5,000円~10,000円前後
⑤ピアスが原因でしこりができることもある

雑菌が入ることでしこりができるのは、耳たぶに限らずどこでも変わりませんが、ピアスの穴を開けることで細菌が入りやすくなるということは決して忘れてはいけません。

ただでさえ細菌が入りやすい場所に、ふんりゅうやニキビなどのしこりができれば、悪化するスピードも速くなる可能性があります。耳たぶのしこりが気になったら、まずはピアスを外して、適切な処置を受けるために専門医のところへ行きましょう。

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