炎症を起こしやすい?背中の粉瘤の特徴と除去方法

はじめに

背中のニキビが何となく大きくなってきたと感じたら、それは粉瘤(ふんりゅう)と呼ばれる良性腫瘍、アテロームである可能性があります。

初期では小さなニキビと見た目も症状も変わらないので自覚症状がないかもしれませんが、そのまま放置していると大きく腫れて肥大化し、日常生活に支障をきたすレベルになるケースも珍しくありません。いずれにしても、早期の治療が重要です。

ここでは、背中のアテロームを早期に治療する重要性や手術方法や治療費なども併せて紹介します。

目次

  1. 背中のアテロームの特徴
  2. アテロームが大きくなる原因
  3. 腫れてからでは痛みが増す
  4. 背中のアテロームを除去する方法

背中のアテロームの特徴

粉瘤はアテロームとも呼ばれます。これは、何かの理由で皮膚がめくれ上がり、皮脂や垢など、通常はそのままはがれ落ちて汚れとなり、洗い流される老廃物が皮膚内に入り込んで溜まっていく良性腫瘍です。

初期のアテロームはニキビのように「小さいできもの」のような形状ですが、時間とともにこの、できもの(=嚢胞(のうほう))に老廃物が溜まるので、場合によっては5センチ以上の大きさになることもあります。

この袋状の嚢胞が圧迫などによって潰されると、皮膚の中で炎症を引き起こして赤みや痛みが生じます。また、急速に肥大化が進み早急な外科的治療が必要となることもあります。

注意したいのは、初期の症状がニキビに大変似ているため、ニキビに対する処置をしてしまいがちということです。

背中にできたアテロームは目で見て確認することが難しいので、手で触って判断するしかない場合が多くなります。初期のアテロームであればなおさら、手で触っただけでニキビとアテロームの違いを判断するのは難しいでしょう。

残念ながら、アテロームはニキビとは違い、自然治癒することはほとんどありません。ニキビができるのは表皮ですが、アテロームは皮膚の内部にできる嚢胞が原因の腫瘍だからです。そのまま放置すると肥大化することが多く、背中の場合には大きく腫れてしまう可能性も高くなります。

アテロームが大きくなる原因

アテロームは良性腫瘍ですから特に何もしなくても害はありませんが、本来であれば汚れとしてはがれ落ちているはずの古い垢どんどん嚢胞の中に溜まっていくので、次第に大きくなっていきます。

この老廃物がたまった嚢胞が圧迫されたり衝撃が加わったりするなどの原因で破裂した場合、老廃物が排出されるので嫌な臭いを発します。また、内部で炎症を起こしてしまうために大きく腫れて痛みや熱を感じることがあります。背中にできたアテロームの場合、座った時に圧迫される可能性が高いので、破裂する危険性もそれだけ増えるということになります。炎症を引き起こしてしまったアテロームは「炎症性噴流」と呼びます。こうなると、場合によっては耐えられないほどの痛みを感じることもあるので早急な治療が必要です。しかし、可能であれば、ここまでになってしまう前に適切な治療を受けたいところです。

アテロームが大きく腫れてしまってからでは、簡単に済むはずの治療が複雑になったり、腫れや炎症を鎮めるための投薬期間を設けなければならず手術までの時間がかかったりして、余計な費用や手間がかかります。

いずれにしても、背中のアテロームは背中ニキビなどとの区別も難しいので、大きくなってきたからといって潰したりせず、気になる点があれば専門医の診察を受けるようにしましょう。

腫れてからでは痛みが増す

アテロームは良性腫瘍なので絶対に除去手術を受けなければいけないということではありません。しかし、皮膚内に老廃物が次第にたまっていくという特徴があるので、時間とともにどうしても肥大化する可能性が高くなってしまいます。また、何らかの原因で患部に傷がついたりヘソとよばれる開口部から細菌が侵入したりして感染症を起こしてしまった場合には、痛みを伴って重症化することもありますので早めの切除が無難でしょう。

背中にできる「できもの」の中には、アテロームに似た疾患がいくつかあります。蕁麻疹(じんましん)などもそうですが、もっとも紛らわしいのは「背中ニキビ」でしょう。アクネ菌が異常繁殖することで起きるニキビですが、中でも皮下に膿が溜まってしまった状態は深在性ニキビなどと呼ばれたりします。背中ニキビと初期のアテロームは、その見た目や症状が大変に似ているため、専門医以外が見分けるのは大変に難しいでしょう。

目視で確認できない背中の場合は、異常が現れたら早急に皮膚科を受診して、そのできものがアテロームなのかニキビなのかなどをしっかりと診断してもらったうえで、適切な処置を受ける必要があります。大きく腫れてからではかなりの痛みを経験することになる可能性も高くなります。たいしたことないと思っているうちに急速に肥大化することもあるので、注意が必要です。

背中のアテロームを除去する方法

それほど大きくなっていない背中のできものがアテロームとわかった場合には、そのまま様子を見るという選択肢もありますが、できれば除去手術を受けるようにしましょう。

すでにアテロームが炎症を起こしてしまっている場合には、まず炎症を鎮める必要があるため、すぐに手術はできません。基本的に、アテロームが大きくなっているということは、炎症を引き起こしている証拠とも言えますので、そうなる前に皮膚科を受診することが重要になってきます。

アテロームは診断から検査、手術まですべて保険が適用されますので、費用面での心配はいりません。背中のアテローム除去手術の場合、直径の合計が3cm未満で4000円から5000円程度、3cmから6cm未満では10500円前後、6cm以上の場合には13000円前後が相場です。アテロームの大きさにもよりますが、手術時間はおよそ5分から20分程度となります。

手術のあとは抜糸をするまで通院をする必要はありません。通常の仕事程度の活動量であれば、手術当日からでも問題はありませんが、激しい運動は術後2日程度、飲酒は1週間程度控えるようにしましょう。なお、手術当日の入浴はできませんが、翌日以降はシャワーや石鹸で患部を洗っても問題ありません。ただし、浴槽に浸かったりプールに入ったりするのは 1週間後からとなりますので注意が必要です。

術後は絆創膏やガーゼで傷口を保護します。手術の翌日からは、適宜自分で張り替えます。特に問題がない場合には、1週間程度張ったままでも構いません。完治するまでは 2週間から4週間程度となります。

まとめ

顔や額などにできたアテロームの場合には、自分で目にする機会も多くなるので、気になって早急な処置をするケースも多いですが、背中のようになかなか目につかない場所のアテロームは、ついつい放置してしまいがちです。

しかし、その結果大きく腫れあがったり、耐えられないほどの痛みが生じたりすることも多々あるので、背中だからといって軽く考えることなく、早めに皮膚科を受診して、除去手術などの適切な治療をするようにしましょう。

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