はじめに
皮膚のあるところなら、どこでもできる可能性のある良性の腫瘍が粉瘤です。粉瘤は切除しようとすると大きさによって手術料金が異なることはあまり知られていません。粉瘤は、放置しておくと大きくなり、手術料金が高くなってしまう可能性があります。ここでは、粉瘤の大きさと手術料金との関係、できるだけ手術料金をおさえるポイントをご紹介します。粉瘤の手術にかかる料金が気になって手術を迷っている人もぜひ役に立てて下さいね。
粉瘤はなぜ皮膚にできるのか
ある日突然、痛みのないできものを皮膚に発見するという人が多くなっています。まずは、なぜ粉瘤は皮膚にできるのか、粉瘤の正体について見てみましょう。
人間は生きていく中で体の細胞が分裂を繰り返しています。皮膚の表面も細胞分裂が行われていて、新しい皮膚と古い皮膚が繰り返し再生を行っています。新しい皮膚が作られると、いらなくなった古い皮膚は、垢として剥がれて落ちます。ところが、何らかの原因でこの垢が毛穴の奥に入り込んでしまい、袋状に溜まってしまうのが粉瘤の正体です。つまり、皮膚の盛り上がっているところに入っているのは、古くなった垢や角質なのです。
粉瘤以外にも、色々な肌のできものはあります。粉瘤は、毛穴の入口が酸化して黒くなっているのと、押すとできもの自体がよく動くという特徴があります。また、できたばかりで細菌に感染していないなら、痛みも腫れもありません。古くなった垢が溜まってしまうため、皮膚のあるところならどこでもできる可能性があります。そのため、顔などの目立つところに粉瘤ができてしまうこともあるのです。
良性の腫瘍のため、放っておいても直ちに何か悪影響があるわけではありません。しかし、放っておくと大きくなるリスクがあります。
粉瘤が大きくなると手術料金も高くなる
粉瘤は良性の腫瘍のため、放っておいても大丈夫です。ただし、放っておいても基本的に完治はしません。ごくまれに、酸化している毛穴から粉瘤の元になっている袋ごと排出されれば治ることがありますが、自然に排出されることはほぼありません。
粉瘤を放置しておくと、毛穴の奥にある袋の中に、どんどん垢や角質が溜まっていきます。すると、小さかった粉瘤がどんどん大きくなってしまいます。粉瘤を取るには、切除手術を受けなければいけません。そして、切除手術にかかる費用は、実は粉瘤の大きさが大きくなれば大きくなるほど高くなってしまいます。
さらに、粉瘤を放置しておくと細菌に感染する可能性もあります。細菌に感染した粉瘤は、痛みや熱を持ったり、膿が中に溜まったりします。さらに、細菌感染した粉瘤はより完治まで時間がかかりますし、手術の方法も限られてしまいます。そして、手術の料金を含めた、トータルの治療費も高くなってしまいます。
粉瘤の手術というと、美容整形のような手術をイメージするかもしれません。実は、粉瘤の切除手術は健康保険の適応内です。粉瘤が大きくなく、かつ細菌感染しないうちに切除手術を受けたほうが、完治も早くなりますし、手術料金も安くおさえられます。
粉瘤切除で行う手術とは
粉瘤の切除手術は、粉瘤の大きさによって料金が異なることが分かりました。できるだけ小さいうちに手術を受けたほうが料金は安く済みます。これは、粉瘤の状態やサイズによって、できる手術の種類が異なってくるためです。次に、粉瘤の切除で行う手術の種類について見てみましょう。
粉瘤が小さく、細菌感染もしていない場合には「くり抜き法」によって手術が可能です。くり抜き法とは、粉瘤の開口部に小さな穴を開けて、そこから粉瘤の元になっている袋を、ほかの皮膚から剥がして取り出す手術方法です。開ける穴が小さく、傷跡を縫う必要がないためいため、手術の跡が残りにくいというメリットがあります。そのため、女性の顔にできた粉瘤を切除する際にもよく用いられる方法です。くり抜き法の手術は数分から長くても30分もあれば完了します。さらに、手術費用も健康保険の適応内で、安く済むという特徴があります。
くり抜き法が使えないほどの大きな粉瘤や、細菌感染をしている粉瘤の場合には「切開手術」を行います。切開手術は、粉瘤のある皮膚にメスを入れて、粉瘤の袋ごと皮膚を切り取る手術方法です。最後は皮膚を縫わなければいけないので、傷跡はくり抜き法よりも残りやすくなります。さらに、傷の癒着や引き連れが起きる可能性もあり、料金は健康保険の適応内ですが、粉瘤のサイズが大きい場合はくり抜き法より高くなります。
粉瘤の手術料金は早い方がお得
粉瘤は放置しておくと、垢や角質がどんどん入ってしまうので、大きくなるリスクがあります。そして、粉瘤が大きくなるとそれだけ手術の料金も高くなってしまうので、粉瘤が小さいうちに手術を受けて切除した方が料金が安くなります。また、粉瘤が小さいと切開手術だけでなく、くり抜き法も選択肢に入りますので、手術の跡が目立たなくなるといったメリットもあります。
また、細菌に感染するとくり抜き法が使えなくなるだけでなく、治療の期間が長くなってしまいます。さらに、細菌感染した粉瘤は痛みや熱がでてしまい、嫌なにおいのする膿もたまるようになってしまいます。忙しくてなかなか皮膚科を受診できないでいると、もっと悪化してしまうため、細菌感染をしていないうちに皮膚科を受診しておくのがおすすめです。
また、皮膚科によって行っている粉瘤の手術が異なり、粉瘤の手術自体を行っていない皮膚科もあります。粉瘤の手術を行っていない皮膚科の場合は、手術を行っている皮膚科への紹介状をもらわなければいけないので、紹介状の料金がかかってしまいます。粉瘤の治療費について気になる場合は、早めの受診に加えて、あらかじめ手術に対応している皮膚科を探して受診するのも有効です。納得して手術ができる皮膚科を見つけましょう。
まとめ
粉瘤は大きさによって手術料金が高くなることをご紹介しました。粉瘤ができているのを見つけたら、早めに手術を行っている皮膚科を受診すると、トータルの料金を安くおさえることができます。手術の跡が残りにくい、くり抜き法に対応している皮膚科が見つかれば、顔にできてしまった粉瘤の手術も安心して受けられます。また、早めに受診すると、傷が目立たなくなる手術を選択肢に入れられる可能性や、細菌感染を防げるというメリットもあります。細菌感染して粉瘤が辛くなる前に、受診してみましょう。