はじめに
耳たぶにしこりや、小さな突起を感じたことはありますか?「耳に脂肪のかたまりができてしまった」「耳にもニキビができてしまった」と思う方がいますが、それはアテロームかもしれません。アテロームは粉瘤(ふんりゅう)とも呼ばれ、ニキビとは異なるものです。悪性ではないため、過度の心配は不要ですが、放っておけば炎症を起こして、強い痛みを引き起こすこともあります。今はなんともなくても、いずれは大きく目立ってくる可能性もないとは言い切れません。早期に対処することで、きれいに治すことができることを、ぜひ知っておきましょう。
目次
耳たぶにできるアテロームとは
アテロームとは、皮膚の中に角質や皮脂がたまってしまい、しこりのように皮膚表面にあらわれるものです。体中にできる可能性がありますが、多くは顔や背中に発生するケースが多くあります。また、耳や耳たぶにもできやすいです。正面から見えない耳の裏側にできることもよくあります。
耳や耳たぶはアテロームが多発するケースも多く、複数のアテロームが同時にできてしまうこともめずらしくありません。耳周辺は顔同様に、アテロームの好発部位でもあります。
形状は白っぽいもの、赤く盛り上がったものが多く、見た目からニキビに間違えてしまう方もいます。ほくろのように黒ずんだものもありますが、いずれも突起のように半円状にふくらみ、触るとしこりが感じられるでしょう。
放置しておくと細菌が入り込み、炎症を起こして膿となり、赤く大きくなってしまうこともあります。炎症を起こすと炎症性粉瘤、または化膿性粉瘤と呼ばれる症状へと変わり、痛みを伴うようになります。
炎症がひどくなってから、病院で処置するよりも、早期に発見して処置を始める方がいいでしょう。アテロームは外科的手術で取り除くしか方法がないため、小さいうちに対処してしまった方が、傷跡も小さくて済みます。
耳たぶは皮膚が柔らかく、変形しやすいため、アテロームが大きくなるまえに取り除くのがおすすめです。
アテロームを放置するとどうなるのか
アテロームを放置しておけば、炎症を起こす可能性が高くなることもあります。炎症は細菌感染によるものという説がありますが、外部からの圧迫により、炎症反応が起こるという報告もあります。細菌感染の可能性もあるため、抗生物質を使用して治療をおこなうこともありますが、効果が期待できるとは限りません。アテロームが存在するだけで細菌や圧迫によるリスクは高まるため、迅速に手術し、完全に取り除く方法が有効とされています。
炎症を起こさない場合でも、角質や皮脂がどんどんたまって大きくふくらんでしまうこともあります。大きくなるほどに手術跡が残りやすくなることが懸念されます。アテロームは小さいまま、大きくならないこともありますが、自然に治ることはありません。治療法は手術のみであるため、大きくなる前に処置した方が治療後もきれいな状態を維持することができます。
アテロームになってしまう原因はハッキリとは解明されていません。ただ、皮膚を清潔に保てなかったことや、ストレスなどで発症する病気ではないと考えられています。そのため予防はもちろん、手術以外の治療法は未だ無く、投薬や塗り薬で治す方法は確立されていません。
良性のため、放置してそのまま大きくならなければ問題ありませんが、あるとき突然に大きくなること、突然痛みが発症することは覚えておいてください。
耳たぶにできたアテロームの手術法
柔らかな耳たぶにできたアテロームは、他の箇所とは異なる方法で手術することがあります。アテロームは通常「くり抜き法」と呼ばれる筒状のメスを使用し、穴を空けるようにして摘出されます。くり抜き法を使用し、縫合せずにガーゼを当てて終了した場合には、傷跡が目立ちにくく済みます。炎症を起こす前であれば、わざわざ切開せずに、縫合を必要としないくり抜き法で手術してもらえるかもしれません。ですが、耳たぶにくり抜き法を使用すると、耳たぶがたるんで形状が悪くなることも心配されます。そのため、切除して取り除く「切開法」を用いるケースもあります。切開法では縫合をしないケースが多いのですが、アテロームが大きい場合には切開範囲も大きくなり、縫合が必要になることもあるでしょう。複雑かつ、皮膚の形状が動きやすい耳たぶから、大きくなったアテロームは、簡単にくり抜いて取り出すというわけにはいかず、切開法は、医師の丁寧な技術がより必要になります。
同じ耳たぶであっても、アテロームのできた位置や大きさ、状態などによって手術法は異なります。
それぞれの手術にメリット、デメリットがあるので、素早くきれいに治すには、なによりも早期に発見し、小さなうちに手術してしまうのがおすすめです。
アテロームをきれいに治すポイント
アテロームは、一般的に「皮膚科」「形成外科」「美容外科」などを受診すれば、治療してもらうことができます。形成外科ならば外科手術に慣れているため、傷跡を目立たせずに手術できるというメリットがありますが、アテロームを重点的に扱っている病院でないと心配なことも。アテロームは完全に取り除けなかった場合に、再発してしまう恐れがあります。事前に治療が可能であるか、実例があるかなどを調べてから受診すると安心かもしれません。
手術についても、手術法や傷跡の処置についても十分な説明を求めるようにしてください。耳たぶの傷跡が目立つのは避けたいものです。また、耳の形状に影響がないかなど、治療法に納得してから手術をおこなってもらう方が安心できます。
早期に受診すれば、初診後に手術してもらえることもあります。無事に手術を終えても、患部によっては軟膏やガーゼによるケアをおこなう必要が出てくることもあります。手術後当日から入浴ができますが、傷口の洗い方やケアの方法については、医師の指示をしっかりと守りましょう。術後の経過がよく、傷口も小さく目立たなくなる方がほとんどですが、早くきれいに治すためには、正しいケアをおこなうことが大切です。
あとは時間経過により、徐々に傷口が目立たなくなります。1か月後には、ほとんど傷跡が分からない状態になる方も多くいます。
まとめ
決して体に害を及ぼす病気ではありませんが、見た目的にはあまり良くないものです。放置して炎症を起こし、強い痛みを伴うこと、より大きさが増してきて手術が大変になることは避けたいものです。
小さな状態であるほど、その日の診察後に小さな筒状のメスでくり抜いてしまえます。ピンセットの先ほどの小さな傷跡のため、治りも早いでしょう。傷跡を縫うこともなく、徐々に自然な元の状態へと戻すことができます。自分で潰そうとせずに、気づいたらすぐに、病院を受診して相談するのが賢明な方法といえるでしょう。