はじめに
粉瘤を手術しようと考えたときに、保険診療と自由診療の二つの選択肢があります。保険診療の方が健康保険が適用になるので安価に済みますが、自由診療の方がキレイに仕上がるというメリットがあります。今回は、粉瘤の手術を行うときに、保険診療と自由診療ではどのような診療の違いがあるのかをご紹介します。あわせて値段の違いもご紹介するので、粉瘤の手術で迷っている人はどちらにメリットを多く感じるかで検討するようにしましょう。
保険診察と自由診察の違い
まずは保険診療と自由診療の違いについてご紹介します。
保険診療とは、健康を害する・治療しなければ生活に支障をきたすと判断された場合に、健康保険を使って診療を行えるもののことをいいます。風邪、インフルエンザ、骨折、打撲、頭痛など、生活に支障をきたすような病気や症状が出ているときに健康保険が適用できます。粉瘤の場合も、切除しないと炎症を起こして痛みを感じてしまったり、中から膿が出てくるのが定期的に続いてしまったりと生活に支障が出るため、保険診察で治療することが可能です。保険診察の場合は自己負担額が3割なので、比較的値段が安いことでも知られています。
自由診察とは、一般的に診療を行わなくても生活に支障がないものが対象で、それでも治療したいと希望する人が、健康保険外で自由に診察することをいいます。例えば、ヒアルロン酸を肌に注入したり、シミを消したりといった美容系の診療は、診療を行わなくても生活に支障はありません。自費でもいいから治療をしたいと考えて診療を受けると、基本的に自由診察になります。粉瘤は皮膚科などで診療を受ければ保険診療となりますが、形成外科、美容整形外科などで診療を行うと、自由診療扱いになります。自由診療の場合は健康保険が適用されないので値段が高くなってしまいます。
自由診療の方がキレイに仕上がる
保険診療が使えるのであれば、出来るだけ保険診療を使いたいですよね。料金的にもお得ですし、自由診察にする必要性がないと感じる人もいるかもしれません。保険診療を行う皮膚科では、ほとんどの場合、紡錘形切除法という方法で粉瘤を切除します。紡錘形切除法は、その名の通り、粉瘤をメスで切り取るという治療法です。粉瘤を紡錘形にカットして粉瘤と嚢腫壁を取り出して縫い合わせます。メスで皮膚を切るので、粉瘤の大きさに関わらず行うことが出来る治療法ですが、粉瘤と同じサイズの傷跡が残ってしまうというデメリットがあります。傷跡は2週間ほどで落ち着きますが、完全に消えるには数年かかることもあり、大きな粉瘤を切除した場合は傷が消えないこともあります。
健康保険が適用されない形成外科や美容整形外科では、くり抜き法と呼ばれる治療法が使われることがあります。粉瘤に小さな穴をあけてそこから中身を取り出すという方法で、穴の大きさは2ミリから5ミリなのでとても小さいです。傷跡が残りにくく、残ったとしてもとても小さいというメリットがあります。それ以外にも、傷跡が残ってしまった場合にレーザー治療などを行うことが出来るので、傷跡が残らないようにキレイに仕上げてくれます。保険診療よりも自由診療の方が粉瘤の手術跡はキレイです。
保険診察で粉瘤手術にかかる値段
保険診療の場合、どれくらいの費用が掛かるのか、具体的な金額の目安をご紹介します。
・診察、カウンセリング:1000円前後
・検査:超音波検査1000円前後
・手術:5000円前後
・その後複数回通院:1回1000円前後
上記の手術の費用は、数ミリの粉瘤を手術した場合の健康保険適用後の金額です。もう少し大きい粉瘤の場合はさらに値段が上がるので注意が必要です。直径5センチ程度の粉瘤であれば、健康保険を適用して15000円になります。細かい金額は、最初のカウンセリングの時に確認するようにしましょう。
保険診察の皮膚科の場合でも、くり抜き法を使っている病院はあるので、出来るだけ傷を残したくないという人におすすめです。粉瘤は身体のどこにでもできる可能性があるものですが、尻、背中、腕など、服で隠れるような場所は紡錘形切除法で手術を行うことが多いです。逆に、顔、耳、首、脇などの人目につくところは出来るだけ傷跡が目立たないようにする必要があるため、皮膚科から形成外科を勧められることもあるようです。「お金をあまりかけずに健康保険適用で手術はしたいけれどキレイに仕上げたい」という人は、皮膚科と形成外科を行っている病院の予約を取ると、傷跡の処理までキレイに行ってくれることが多いです。
自由診察で粉瘤手術にかかる値段
自由診察の場合は、粉瘤手術にとてもお金がかかります。健康保険が適用されないので、高額になることが多いですが、キレイに仕上げることが出来ます。粉瘤は皮膚の下に腫瘍が出来ているという状態なので、皮膚を切って中身を取り出す必要があります。そのため、出来るだけキレイに治療しないと肌に傷が残ってしまうのです。顔や首、耳などに出来やすいのが粉瘤なので、そういう目につく場所の診療は自由診療の方がキレイに仕上がります。
・診察、カウンセリング:2000~3000円
・手術:35000円~
・複数回通院:1回2500円~
このような料金になっています。手術は、直径4センチの粉瘤を取った場合の金額です。大きい粉瘤になってしまうとさらに値段が上がるので、細かい金額は診察の時や、電話で聞いてみるのもよいかもしれません。くり抜き法は数ミリの傷跡しか残らない治療法ですが、あまり大きな粉瘤には使えない手術方法になっています。くり抜き法が使えない場合はレーザー治療法を使うことが多いので、そのため値段が上がってしまいます。また、形成外科などの自由診察がキレイに仕上がるのは、術後のケアがいいからです。傷跡を目立たなくさせるテープなどを使って、傷跡が目立たなくなるまでしっかり治療してくれます。
まとめ
今回は、保険診療と自由診療の違いについてご紹介しました。保険診療は健康を害さないように粉瘤を取り除くことに力を入れているので、手術時間も短く、術後の通院回数も少ないです。健康保険が適用しますし、かなり安価に治療を受けることが可能です。それに対し、自由診療はキレイに仕上げることに力を入れているので、手術の方法や術後のケアなどがしっかりとしています。値段はもちろん自由診察の方が高いですが、自分が手術するときにどちらにメリットがあるのかを考えて選ぶようにしましょう。