はじめに
顔にポツポツとできものがあるとどんなに小くても気になりますね。ニキビかなと思ってニキビ用のお薬を塗っていてもちっとも小さくならない場合は、粉瘤である可能性が高いようです。粉瘤には顔にできるニキビの親玉のような大きな突起の場合もありますし、小さなブツブツがたくさん目の周りにできてしまうこともあります。顔にできた場合、どのように対処すべきなのか、手術は跡が残るのか、そして粉瘤ではなく思いがけない病気である場合などを紹介します。
顔に気になる突起がある場合は粉瘤かも
顔にできた突起は、シミなどのようにお化粧でカバーできませんから気になります。できものやしつこいニキビなどと思って、ニキビの治療薬などを塗っても治りません。小さいうちは、盛り上がりはほとんどなく、触ると少し固い塊を感じる程度です。そのままにしておくと、だんだん大きくなってきます。大きくなる速度は、個人差もあり、人によっては突然大きくなってしまう場合もあり、まちまちです。
盛り上がってきたときに中央部に穴が空いている場合は粉瘤(ふんりゅう)であると考えられます。粉瘤は表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)またはアテローム と呼ばれています。脂肪のかたまりと呼ばれる場合もありますが、表皮が袋状になり、袋に脱落していくはずの古い角質層、つまり垢(あか)が溜まっている腫瘍です。
粉瘤は、良性腫瘍ですからそのままにしていても問題はないのですが、やはり顔にできていると気になります。気になってついつい触っていると、手についたばい菌が内部に入り込んで感染してしまいます。感染してしまうと膿が出てしまい、大きく腫れ上がり、炎症性粉瘤という状態になってしまい、痛みや強い痒みを伴います。膿ができてしまうと、膿を掻き出す施術をしなくてはならなくなり、大きめな切開が必要です。すると跡が残る可能性が大きくなるので、感染しないようにできるだけ早めの治療が必要になってきます。
顔に粉瘤ができた場合の治療は手術
粉瘤は、小さいうちなら手術も簡単です。2cm未満の粉瘤を切除する場合は、保険で1,660点です。1点が10円で、その3割を負担するとして4980円、痛み止めや診察料などをプラスしてもかなり低料金で治療が可能です。粉瘤が小さいほど傷跡が残りにくいので、気になっていたらすぐに診療しましょう。
また、顔にできたブツブツは、必ずしも粉瘤だけではないので自分勝手な判断をせずに、医師に判断してもらうことが大切です。稀にですが、悪性腫瘍という場合もあります。また、粉瘤であると診断された場合は、塗り薬などの薬はありません。
やはり手術をおすすめですが、医師によって治療の仕方にも違いがあるので、どのような施術をするのかしっかり話し合って判断しましょう。顔は傷跡が目立つので、皮膚を少しだけ切って、中身を出していき、袋の1部分のみを取り出して行くという治療方法もあります。完全に取り除くわけではないので、定期的に施術が必要になりますが、顔に跡が残りません。
顔の部分によってはシワを利用してシワに沿って切開をして、縫い合わせるという方法をとる場合もあります。手術をして完治させるか、継続的に中身を取り出すかは、粉瘤ができてしまった顔の部位とライフスタイルに合わせて、ドクターと相談しながら治療方法を決めていきましょう。
目の周りの小さなブツブツの手術は?
顔にできるブツブツは気になりますが、目の周りに白いブツブツがたくさんできてしまうことがあります。主に目の周り、ひたいや 頰 に1〜2mmくらいの小さなブツブツが点在しますが、これは稗粒腫(はいりゅうしゅ)と呼ばれるものです。産毛の毛穴部分にできた表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)で、粉瘤の1種ですが大きくなることはありません。乳児にもでき、乳児の場合は自然に取れてしまう場合もありますが、成人の牌粒腫はそのまま放置していても、消えることはありません。
稗粒腫は小学生くらいから、20代、30代に多く見られます。40代以上の場合は、目の周りよりもひたいや鼻の周りにできます。針で小さな穴を開け、内容物を押し出します。この治療方法は保険適用で、保険3割負担の場合で約1,000円程度です。治療後数日から1週間で治療をした部分は目立たなくなります。また、施術後すぐにお化粧も可能です。治療跡が心配な人は、炭酸ガスレーザーで治療をするクリニックに行く人もいますが、炭酸ガスレーザーは自費治療です。
稗粒腫の原因ははっきりわかっていません。擦り傷ややけどが治癒している過程でできる場合もあります。ただ、できやすい体質の人もいて、そういう人は何度もできてしまうことがあります。
稀ではあるが外歯瘻の可能性も
あごなど口の周りにできた突起は、外歯瘻(がいしろう)という病気の可能性もあります。虫歯を放置している場合など、歯茎の病気から歯の根っこにまで、影響していきあごの骨を突き破って進行していった結果、あごの皮膚を突き破って膿が溜まっている状態です。下の奥歯に問題がある場合はあごに、上の奥歯に問題がある場合は目の下の部分や鼻の周りに膿が溜まります。
歯茎の状態がそこまで悪くなると、口腔内の痛みはほとんど感じられないため、顔にできた吹き出物と口腔内の問題を関連づけて考える人は稀です。そのため、治りにくいニキビと思って放置したり、ニキビの薬を塗っている人がほとんどです。
診察では、以前に歯の問題があったかどうかなどの問診をし、口腔内を診察しレントゲン検査で原因とみられる歯周病の歯を限定します。普通のレントゲン検査では見つけられないことも多く、造影剤を注入して問題点である膿が出ている部分を特定していきます。
治療法は、まず原因となる歯を抜くこと、歯根端切除術、歯根端掻把術(しこんたんそうはじゅつ)をします。歯根端掻把術は病巣部分を取り除きながらも、できるだけ根尖部(こんせんぶ)、つまりいわゆる歯根を残すようにしていく方法です。治療は歯科医院で行います。
まとめ
顔にできた気になる突起物について紹介しました。突起物が粉瘤であるかどうかは、やはり医師の判断が大事です。勝手に素人判断せず、専門家に相談しましょう。粉瘤でしたら、良性腫瘍ですから健康上の問題はありません。手術で除去する場合は、施術数が多い、経験のあるクリニックに行きましょう。顔の手術ですから、納得できる状態で施術をしてもらうことが必須です。納得できるまで質問をしてから手術を受けるようにしてくださいね。