はじめに
「耳のしこりがどんな病気なのかしりたい」
この記事ではこんな悩みを解決できます。
耳にできてしまったしこりはほとんどの場合は粉瘤という皮膚疾患の場合が多いです。非常に小さいものから見てわかるほど肥大化してしまうものもあります。
実は耳の周りは比較的粉瘤ができやすい場所といわれ、耳たぶや耳の裏側に多く見られます。粉瘤は良性の皮膚腫瘍のため異常がなければ、ほうっておいても心配ないのですが、実は耳の粉瘤には早めに取り除いておくべき理由があります。
この記事では、粉瘤が大きく膨れ上がる前に治療する必要があるのかどうか、耳にできた粉瘤の治療について解説していきます。
- なぜ耳の粉瘤は小さくても除去すべきなのか
- 再発を起こさないための粉瘤の対処方法
- 耳の粉瘤には2つの除去方法がある
粉瘤は耳のどこにできやすいのか
まずは、粉瘤とはどのような皮膚疾患なのか確認していきましょう。
皮膚の下に袋状のものができて、そのなかに皮膚からはがれた垢と皮脂がたまった腫瘍のこと
腫瘍といっても垢や皮脂の溜まったものなので良性のものです。垢や皮脂は外に出ることはないので、どんどんたまり粉瘤は大きくなってきます。しかし粉瘤ができる原因はわかっていません。
耳の粉瘤の特徴は耳たぶと耳の後ろ側にできることです。粉瘤は、時間がたつにつれて垢などがたまるので大きくなってしまったり、破裂して化膿してしまう可能性もあります。その穴から雑菌が入って炎症を起こしてしまう可能性もあるので、気になるようであれば皮膚科を受診しましょう。
粉瘤と間違われやすい耳の皮膚疾患
粉瘤は耳にできやすい皮膚疾患の一つですが、その他の皮膚疾患についても知っておくと初期の対応を間違えないので、1つの有名な疾患を紹介していきます。
これは生まれつき耳の前部にある小さな穴のことで、それは皮膚のトンネルになっており、耳の後ろまでつながっている状態
小さな穴から細菌が入り込んでしまい、感染を起こして腫れあがることがあります。粉瘤と同じような場所にできることから注意が必要です。
以下のポイントを満たす場合は粉瘤である場合が高いです。
- 痛みがない
- 赤みがない(熱を持っていないか)
- しこりがない
- 腫れの中心に黒っぽい点がある
粉瘤と似ている疾患はほかにもありますが、自分で判断せずに皮膚科を受診するようにして下さい。こちらの記事では耳にできやすい粉瘤に似ている3つの症例を詳しく解説しています。
耳の周囲に粉瘤ができたときの治療方法
ここからは粉瘤が炎症を起こした場合、どのような治療がなされるのかについて紹介していきます。
粉瘤は良性の腫瘍であるため、通常はほっておいても問題ありません。大体の場合、大きくなるとしてもゆっくりとしたペースで、ほとんど分からない程度の場合が多いようです。 しかし以下のような状態を少しでも感じたら皮膚科に行くことをおススメします。
②粉瘤内部に膿が溜まってどんどん大きくなり、破裂してしまう
粉瘤手術の流れ( 炎症が見られた場合や、炎症が起こっていなくても大きくなってきて見た目が気になるという場合 )
粉瘤は薬などが効かない皮膚疾患のため、皮下の袋の摘出手術によって治療するのが一般的です。化膿や炎症を起こしてしまっている場合は以下のような順序で行われます。
- 感染がある場合は、抗生剤や抗炎症剤を使用して、腫れを鎮めてから手術を行います。
- 感染がひどい場合には、一度切開し、膿を出してから軟膏で治療。
- 期間をおいて傷が落ち着いた後に手術で摘出します。
腫れがひどければ、炎症を抑えるための治療に時間がかかることになり、傷跡も残ってしまうことがあります。
炎症が抗生剤で治まらない場合は、ステロイドの注射で症状を抑えることもあります。これは粉瘤の内部に溜まったものによる異物反応が原因の炎症で、感染ではないからです。ステロイドの注射には副作用が伴うこともあるため、炎症の度合いや溜まったものを見極めてから行われます。
耳の周囲にできた粉瘤を手術で摘出する
粉瘤の主な治療方法は手術です。ここからは最もメジャーな2つの手術法についてまとめていきます。
①くり抜き法:少ない切開で袋の部分だけを取り除く
②切除法:腫瘍部分を切り取る
どちらの方法を選ぶかは、粉瘤の大きさや周りとの癒着、どの部分にできているかなど、総合的な判断の上で決定します。
- 切除法
切除法は粉瘤の患部よりも大きく切開を行い、皮下の袋ごと摘出する手術法です。
皮下の袋を取り残すとそこから再発してしまう可能性があるため、過不足なく取り除きます。摘出した後は縫合するため傷は線状になり、日が経つと目立たなくなってきますが、体質によっては患部よりも大きな跡が残ってしまうこともあります。
- くり抜き法
くり抜き法では小さな穴を開けて溜まった中身を出し、袋を残さないように摘出する方法です。
組織を残してしまうと再発の可能性が出てくることは、切除法と同様です。比較的粉瘤が小さく、あまり大きくなっていないときに用いられる方法といえます。傷は目立たず、術後はニキビ跡のようになります。
粉瘤が化膿してしまっている場合では、まず切開して中の膿を出してしまいます。洗浄し、軟膏を塗るなどして患部の炎症を落ち着かせます。完全に落ち着くまでには数週間かかります。その後、袋が完全に取り出せていない場合は、麻酔下で摘出手術を行います。
化膿してしまうと2段階の手術が必要になる場合がほとんどです。そのため化膿する前に少しでも違和感を感じた場合は、皮膚科に相談して治療を進めると時間も費用も節約できます。
治療後の耳の粉瘤は再発するのか
手術を受けて粉瘤を摘出してしまっても、再発の可能性が全くないというわけではありません。しかし、粉瘤の組織を残さず完全に取り除いてしまえば、再発の可能性は低くなります。粉瘤が大きくなりすぎた場合は、粉瘤の全摘出が難しいので再発しやすくなります。
炎症を繰り返している粉瘤の場合は、病変があちこちに飛び散ってしまっている可能性があるため、手術で完全に取り除くことができずに取り残しがあることも。その場合は再発の可能性も高く、数ヵ月後や数年後に再発するといったことも考えられます。再発した場合は再度手術によって取り除くことになります。
こちらの記事では、粉瘤の再発を防ぐための医者選びのポイントについて解説しています。
多発する粉瘤の場合は先天性による体質的なものです。これによって手術した場所とは違うところに、別の粉瘤ができるということもあります。基本的にはほうっておいても問題のない腫瘍ですが、炎症を起こしてしまうと治療に時間がかかったり、再発のリスクも高くなったりしてきます。
早めの処置なら、傷も小さくてすみますし負担が少ないのは事実だといえるでしょう。年齢などにもよりますが炎症を引き起こしやすい体質というものもあります。粉瘤が気になっているようなら、一度受診して自分の状態を把握しておくのもいいかもしれません。専門家である皮膚科医師の指示を仰いでみてください。
まとめ
- 耳の粉瘤は炎症を起こす前に皮膚科に相談
- 大きくなる前に摘出すると、時間も費用も節約できる
- 粉瘤の再発は起こる可能性もある
耳の周りにできた粉瘤は、あまり大きくなると審美的な面で気になってしまう人も多く、炎症を引き起こしてしまうと手術を重ねることになる場合も考えられます。
腫れあがる前に受診して治療を受けることをおすすめします。耳という部位は、顔の横にあって普段人目につく場所であり、頭に近いパーツです。基本的には、ほっておいても問題のない粉瘤ですが、多発してしまうような体質であれば、なるべく早い段階で手術を受けることを考えてみてもいいかもしれません。