はじめに
ふとした時に、首にしこりやできものがあるのに気が付いたことがありませんか。痛みがないのでそのまま放っているけれども、そのままで良いかわからない、という人も多いですよね。ここでは、首の粉瘤ができた時の対策や手術はすぐできるのか、サイズによって手術の難度が変わるのかについてご紹介します。首という大切な場所だからこそ、気になるできものは今のままでいいのか、受診するなら何科が良いのかも合わせて解説しています。
首にできるできものは何があるか
首にできものがあっても、そのできものが何かによって対処方法は異なります。特に、首は色々な器官が集まっているところなので、原因は多岐にわたります。まずは、首にできものができたら、どこが悪いのかを受診して調べて、適切な治療を受けましょう。
ひとつめがリンパ腺の腫れです。首を通っているリンパ腺の中に風邪のウィルスやほかの細菌などが入り込んで、腫れてしまう急性リンパ節炎があります。急性リンパ節炎の場合は、しこりを押すと痛い、風邪と似た症状が一緒に出てくるなどの症状があります。さらに、急性リンパ節炎ではなく、いわゆるリンパのがんである悪性リンパ腫である可能性も捨てきれません。
次が、唾液腺の腫れです。こちらもリンパ腺と同じく、風邪などのウィルスに感染して腫れる場合があります。また、唾液腺が腫れると、耳の下やあごのしたに腫瘍ができることがあります。また、良性の腫瘍と悪性の腫瘍があり、悪性腫瘍の場合は激しい痛みや顔面の麻痺を伴うことがあります。
最後が、甲状腺の腫れと粉瘤です。両方とも、腫れができても初期は痛みがないという特徴があります。甲状腺も、腫れていてもほかに自覚症状がないため、そのままにしている人も多いかもしれません。さらに、粉瘤は首だけでなく、全身の皮膚にできる良性の腫瘍です。
首になぜ粉瘤ができるか
首にできる良性の腫瘍の中でも、特に頻度が高くなっているのが粉瘤です。では、なぜ首に粉瘤ができてしまうのかを考えてみましょう。
粉瘤とは、皮膚の毛穴の奥に袋状のスペースができて、その中に垢がたまってしまうことでできます。古くなった皮膚の角質は、通常は垢になってそのまま剥がれ落ちます。けれども、垢が落ちずにそのまま皮膚に入り込んでしまい、袋状にたまるのが粉瘤です。垢は当然全身の皮膚から落ちますので、首にも粉瘤ができるのです。
粉瘤ができる原因については、ヒトパピローマウィルスの中でも、皮膚に感染するタイプに感染した時や、ケガや傷が治る過程で、傷口を巻き込んでしまう形になってしまった時などです。ところが、粉瘤はヒトパピローマウィルスに感染していなくても、ケガや傷ができていなくても、ある日突然できていることも多いです。首を含めて、粉瘤ができているのに気が付く人も、ある日何となく触れてみたら、しこりや腫れができていることに気づくことが多くなっています。このように、ほとんどの粉瘤ができる原因は、不明であることが多いのです。
また、体質的に粉瘤ができやすい人もいます。なお、粉瘤は一度できると再発しやすく、放っておいてなくなることはありません。
首の粉瘤を取るには手術をする
粉瘤は、元々は皮膚の垢が中に溜まったものということが分かりました。そのため、発見した時にはまだ小さく、痛みがないことがほとんどです。そのため、特に支障がないのなら放っておいても問題はありません。ところが、大きさがどんどん大きくなってきたときには、すぐに病院を受診するのがおすすめです。
粉瘤は放っておいても治りません。そして、粉瘤の中に細菌が入っていないと、痛みや腫れ、熱が出ることはありません。ところが、そのままにしておくと、何かのきっかけで細菌が粉瘤に入って感染してしまうことがあります。細菌に感染した粉瘤は、どんどん腫れてきて、痛みや熱を持つようになります。特に、首の粉瘤が細菌に感染すると、首を動かすたびに気になったり、寝る時にも痛みが出て寝づらくなってしまったりします。
一番やってはいけないのが、自分で粉瘤をつぶそうとすることです。膿をもったニキビのように、首の粉瘤をつぶして治すのは正しい方法ではありません。粉瘤はつぶしても当然治ることはありません。さらに、無理に首の粉瘤をひっかいたりつぶしたりして治そうとすることで、細菌に感染してしまい、悪化してしまう危険性があるのです。よって、首の粉瘤を取るには、手術を受けることになります。
首の粉瘤はサイズによって難易度が変わる
粉瘤を取る方法は、手術です。ただし、粉瘤は取る箇所やサイズによって、手術を行える医療機関が異なることを覚えておきましょう。
粉瘤は、皮膚にできる良性の腫瘍の中でも、とてもポピュラーなものです。そのため、小さいサイズのものなら、皮膚科でくり抜き式の手術で取ることができます。くり抜き式の手術は、皮膚の毛穴の奥にできた、粉瘤の元になっている袋ごとくり抜いて切除する方法です。リスクも少なく、行っている皮膚科も多いです。首の粉瘤も、サイズが小さく、リスクも少ない場所なら、くり抜き式の手術で切除が可能です。ただし、これは細菌に感染していない首の粉瘤の場合です。もしも細菌に感染している首の粉瘤を手術で取る場合には、まず抗生物質を飲んで感染している体の細菌を殺さなければいけません。無事に粉瘤に感染している細菌がなくなれば、ようやく手術を行います。ただし、細菌に感染しているときには完治までの日数もかかるため、感染する前に手術を行うのがおすすめです。
さらに、首の粉瘤が大きい場合は、手術が難しいときには、対応できる皮膚科とできない皮膚科があります。さらに、皮膚科ではなく外科手術が必要な場合もあります。大切な首の手術のため、信頼できる皮膚科を探して手術を受けるようにしましょう。
まとめ
首にできるできものの種類や、なぜ首に粉瘤ができるか、首にできた粉瘤の手術についてご紹介しました。首は、色々な器官が集中している場所のため、粉瘤と思っていても違うできものである可能性もあります。特に、自覚症状のない腫れは甲状腺が腫れている場合もあります。粉瘤かどうかの判断が難しい場合でも、皮膚科を受診すれば適切な医療機関を紹介してもらえますので安心です。まずできものができたら皮膚科を受診し、粉瘤の場合は信頼できるところで摘出の手術を受けるようにしましょう。