はじめに
アテロームは体中のどこにでもできてしまう可能性がある皮下腫瘍です。良性の腫瘍でもあり、小さいうちは気にせずに放置している人もいるかもしれません。潰すと中身が出てきて分からなくなってしまったり、小さくなってしまうので潰してしまっている人も多いでしょう。いくら潰してしまって小さくなっても除去されたわけではないため、また再発して大きくなってしまいます。傷ついた部分から雑菌が入り込み、化膿して肥大化してしまうこともあります。アテロームをきれいに除去する方法について紹介します。
そもそもアテロームとは？
アテロームは、本来であれば皮膚から剥がれ落ちてしまう垢や皮膚の脂などの老廃物が溜まってしまって出来た塊です。表皮が袋状になってその中に老廃物が溜まっていくので、最初は小さなものであっても時間経過とともに大きくなっていきます。やや盛り上がった数mmから数cmの半球状のしこりで、真ん中に黒い点のような開口部があって強く押すと中身が出てくることがあります。ときには自然に破裂して中身が出てきてしまうこともあります。
元々が表皮でできているため体中どこにでもできる可能性があります。アテロームは同じような場所に何個もできたり、体中あちこちにできることもあります。頭部や眉毛、頬などの顔、首、耳の後ろや背中などにできやすい傾向があります。
通常は痛みもなく気が付かないことも多いですが、細菌などに感染して腫れたり激しい痛みに襲われたりすることがあります。軽い炎症であれば薬などで抑えることもできます。酷くなったら、切開して膿を出してしまう方が良いこともあります。化膿した状態では切除手術もできないため、炎症を抑える治療をしなければなりません。
できる原因は定かではありませんが、ピアスの跡やニキビ痕などの外傷が原因で発生することが多いようです。
アテロームは潰しても再発する！
アテロームは袋状になった表皮に老廃物が溜まってできたものです。潰すことで開口部から袋の中身が絞り出されてしまい小さくはなります。しかしながら、袋状になったものはなくなっていないので、そこにまた老廃物が溜まっていきます。潰さなくても自然に破れて開口部から中身が出てきて、小さく目立たなくなることもあります。この場合でも、治ったわけではないのでまた大きく膨らんでいきます。
アテロームは潰しても治っているわけではないので、必ず再発します。元に戻ってしまうだけでなく開口部から雑菌が感染して、化膿してしまう可能性もあります。化膿して悪化したアテロームは、真っ赤に腫れあがり高熱を引き起こすこともあります。痛みを生じ、悪臭を放つこともあります。
アテロームは袋状の嚢胞の中に老廃物が溜まっているもので、細菌が繁殖しやすい場所です。一度細菌が入ってしまって感染してしまうと、自然に治ることはありません。抗菌薬を使ったり、切開して膿を出したりする必要があります。さらにこの状況では、きれいに除去する手術もできないので炎症を抑えてからになるため治療にも時間がかかってしまいます。
潰しても治らないだけでなく、さらに悪化してしまう可能性があるので潰したくなっても潰してはいけません。
アテロームは手術で除去する
アテロームの治療は医師に相談して、外科手術を受けることが一般的です。細菌感染したアテロームの治療には抗生剤などの薬も効果がありますが、アテローム自体の再発を防ぐには確実に効果があるとはいいきれません。アテロームをしっかり治したければ、医師に見せることが重要です。
きれいに除去することがアテロームの治療方法でもあります。言い換えれば、きれいに除去する唯一の方法とは外科手術を受けて取り除くことです。放っておけば大きくなるばかりか、最悪の場合は細菌感染して悪化させてしまうこともありますので、気になったら早めに専門医に相談しましょう。
アテロームは痛みもなく小さいうちはそのまま放置しがちです。放置しているうちに、肥大化していったり、化膿して炎症を起こしてしまったりする場合もあります。大きくなると手術で切除する範囲も大きくなり、傷跡も大きくなってしまいます。きれいに除去するには、小さなうちに早めに診察を受けて、手術で除去する方法が最適と言われています。
アテローム小さいと傷も小さくなり、痛みも少なく、術後回復の時間を短縮できたり、料金も少なく済みますので、放置しないで早めに対処することが大切です。放置しておいても治るわけではありませんので、アテロームと診断されたら早めに手術で除去しましょう。
手術で除去する方法とは
手術できれいに除去する方法としては、単純にその部分を切除する方法とへそ抜き方の2種類があります。
従来からあるアテロームをすべて切除除去する手術では、アテロームの場所に局所麻酔をし、大きさに合わせて最小限度の範囲で皮膚を切開します。アテロームをすべて根元から除去して、縫合をします。傷跡が目立たないように最小限度の切除と、縫合も残りにくいように行ってくれます。小さいアテロームであれば、日帰りで手術も可能な簡単な手術になります。
従来型の切除手術の場合、アテロームの直径の3倍ほどの傷になります。中身だけでなく袋を綺麗に取り除くことが必要だからです。袋を取り除かないと再発してしまいます。
へそ抜き方と呼ばれる、傷口が小さくできる最新の手術方法があります。アテロームに穴を開けて中身と袋を吸い出す方式です。方法は、まず局所麻酔をし、パンチと呼ばれる器具で穴をあけます。その穴から内部に溜まっている老廃物を吸い出します。最後に内容物が無くなってしぼんだ袋を引っ張り出して切り取ります。取り残しがない事を確認し、必要があれば穴を縫合して完了です。
この方法だと手術時間も短くなり、かつ手術の痕も小さく済むのでとてもきれいに除去することが可能です。傷跡が気になる顔や見える範囲での除去手術には有効です。
まとめ
アテロームを潰して、一時的にはなくなったとしても、再発してしまうだけでなく、化膿して悪化させてしまうこともありえます。きれいに除去するためには、手術で切除するしかありません。アテロームが小さいうちであれば、痛みも少なく特に気にもならないかもしれませんが、炎症を起こしたり大きくなってしまうと、除去する範囲が広がるため、大きな手術の痕が残ってしまいます。きれいに除去するためには、小さなうちに専門医に相談して手術をするのが最適でしょう。
