この記事はこんな方におススメ
首の後ろのしこりの注意点が知りたい
首の後ろのしこりの対処法が知りたい
首の後ろの気になるしこりが気になるとき、これは放置してもいいのか不安になるかと思います。
実は、そのしこりは粉瘤(別名:アテローム,アテローマ)という良性の皮膚疾患である可能性が非常に高いです。粉瘤自体は体中のどこにでもできる可能性があるため、首の後ろにできることもあります。
初期の粉瘤は大きさも小さく、痛みも少ないため放置していても気になりません。しかし粉瘤は、自然治癒しない皮膚疾患でありほっておくと肥大化するケースや、化膿や炎症を起こし腫れや痛みが出てしまう可能性があります。
さらに、粉瘤は自然治癒することがなく、粉瘤を除去するには手術しか方法がないため、どうしても治療には費用がかかってしまいます。
この記事では、粉瘤ができることによって引き起こされる可能性がある様々なトラブルについて解説していきます。
首のうしろにできてしまった粉瘤の対処法
粉瘤が引き起こすトラブルとは
くびのしこりの2つの治療法
目次
粉瘤の特徴と似ている5つの疾患
粉瘤とは
何らかの原因で皮膚の下に袋状の構造物ができ、開口部から袋の中に垢や角質、皮脂などが入り込んだ良性の皮膚腫瘍のこと
最初は数ミリほどの小さなものですが、少しずつ大きくなり野球ボールほどのサイズにまで育つこともあり、首のうしろなど見えない場所の場合はある程度大きくなってから気づくこともあるでしょう。粉瘤は一つしかできないということはなく、体質によっては粉瘤が群発することもあります。
詳しい原因はいまだ解明されておらず、有効な予防法もないのが現状です。現状では粉瘤には以下の3点が関係していると言われています。
- ヒトパピローマ(乳頭腫)ウイルス
- ケガがきっかけにできる
- 粉瘤ができやすい体質があること
しかし実際のところは何が原因で粉瘤ができてしまうかはわかっていません。
粉瘤に似た5つの症状とは
粉瘤が発生する場所は背中や頬、耳たぶなどが多いといわれていますが、身体中どこにでもできる可能性があり、首のうしろにできるケースも見受けられます。
また、脂肪腫だと思っていたら粉瘤だった、粉瘤だと思って医療機関で検査を受けたら別の腫瘍だったというケースも見受けられます。粉瘤と間違えやすい疾患としては以下の6つがあります。
- 石灰化上皮腫
- 脂肪腫
- ガングリオン
- 類皮嚢腫(デルモイドシスト)
- 耳前瘻孔
粉瘤かどうかの見分け方の基準としては、患部の中心に黒っぽい点のようなものがあるかどうかです。また、化膿や炎症していない場合には押しても痛みがなく、つまめるようなしこりであり場合が多いです。
首はリンパ腺などのデリケートな部分があります。そのため、しこりに加えて倦怠感や、熱、頭痛などの体に不調があり場合は緊急性を要する場合があります。さらに、体に症状がでていなくても癌の転移の可能性もあるため注意が必要です。そのため、首のしこりに関しては必ず病院に診察してらう必要があります。(参考サイト:日本耳鼻咽喉科学会)
粉瘤に似た疾患についてさらに知りたい方には下の記事がオススメ
粉瘤が引き起こすトラブルとは
粉瘤は良性の腫瘍ですので、必ずしも治療しなければならないものではありません。しかし、放置するとトラブルを引き起こすこともあります。そのトラブル例を挙げてみましょう。
肥大化する
最初は数ミリほどの大きさだったものも、袋の中に溜まる垢や皮脂が増えていって大きくなっていきます。数センチ大にまで成長することもあり、首のうしろなどできる部位によっては生活に支障をきたす可能性もあります。
化膿して熱や痛みを伴う
粉瘤には黒くぽちっとした開口部があるケースが多く、そこから菌が入り込んで化膿することがあります。炎症(化膿)性粉瘤と呼ばれ、赤く腫れあがって痛みをともない、高熱が出ることもあります。また、ひどい化膿の場合は袋が破け、皮膚の下に膿がたまった状態になるケースもあります。
悪臭のある内容物が排出されることがある
まれに粉瘤の中に溜まったものが開口部から排出されることがありますが、排出される内容物が強い臭いを発することがあります。化膿が進んでいる場合には粉瘤が破裂してしまう場合もあるため、注意が必要です。
まれに悪性化する可能性がある
良性の腫瘍で悪性化することはほとんどありませんが、まれにガン化するケースも見受けられます。ガン化するのは、中高年男性のおしりにできたものであることが多いといわれています。
悪性化した粉瘤について気になる方は下の記事がオススメです。
このように粉瘤が引き起こすトラブルは様々です。次は対処法を解説します。
粉瘤にトラブルの対処法とは?
粉瘤はまれに、それほど大きくならずに自然に無くなることもありますが、多くの場合は放置することによって前述のようなトラブルが引き起こされます。もしも粉瘤でトラブルが起こった場合は、医療機関を受診して専門家に相談することをおすすめします。ケース別にトラブル対処法をご紹介しましょう。
化膿した場合
ニキビのように圧迫して膿を出そう考える人もいるでしょうが、それは控えてください。化膿がひどい場合や化膿を繰り返している場合などは、袋状の構造物が破けて脂肪組織内に膿が散らばり、「膿皮症」を引き起こしたり、粉瘤が再発を繰り返して慢性化したりすることがあります。
軽い化膿の場合は抗生剤などで鎮静化させることができますが、ひどい場合は切開して膿を排出させなければならないこともありますので医療機関を受診しましょう。
肥大化した場合
大きく育ってしまった粉瘤が自然になくなることはありません。そのため、治療するには手術をして袋状の嚢胞ごと取り出さなければなりません。化膿が見られる場合は炎症を抑えてからの摘出となります。
また、肥大化した粉瘤ではくり抜き法が適用されにくく、小切開摘出法での治療になるため、手術の傷跡が残ってしまう可能性が高くなります。
ガン化した場合
ガン化した場合も、医療機関での対処が必要です。首筋のように見えない場所では気づくのが遅れることもありますが、粉瘤が小さいうちに対処できればトラブルを引き起こす可能性は少なくなります。
粉瘤を治癒させるための方法
粉瘤を治療するには、嚢腫ごと取り出す手術が行われます。粉瘤の大きさや化膿の有無、嚢腫の状態によって以下の手術方法のどちらかが選択されます。
くり抜き法(へそ抜き法)
開口部からディスポーザブルパンチといわれる、直径約4mmの円筒状のメスを差し込みます。皮膚と一緒に袋状の嚢胞の一部をくり抜き、中にたまった内容物をもみだします。
同時に袋自体も取り出していくのがくり抜き法(へそ抜き法)です。丸くできた傷跡は縫わずに傷がふさがるのを待つことが多く、傷が治るまでに2~3週間ほどかかるのが一般的です。
傷跡は5mmほどと小さく、施術時間も短くて済みますが、術後に炎症を起こしたり、袋状の嚢胞を取り残してしまうと粉瘤が再発したりする可能性があります。
小切開摘出術(小切開圧出後摘出術)
紡錘形に皮膚を切開し、内容物の詰まった袋ごと摘出する方法です。小切開圧出後摘出術の場合は、摘出前に袋を切り開き、内容物をもみだしてから袋を摘出する方法です。
摘出後は切開した皮膚を縫い合わせて終了です。粉瘤が大きい場合はくり抜き法よりもこちらの方法がとられます。
傷跡は大きくなりますが、再発の可能性はくり抜き法よりも低いといわれています。
どちらの場合も局所麻酔で対応でき、入院の必要もほとんどありません。
まとめ
粉瘤が引き起こすトラブルと、対処法について解説しました。
首のうしろのように見えない場所に粉瘤ができた場合、ある程度の大きさになるまで気づくことができないケースもあるでしょう。しかし、粉瘤は小さなうちに対処することでトラブルを未然に防ぐことができ、手術による負担を軽減、傷跡も目立ちにくくすることができます。
良性の腫瘍だから特に支障がないと放置せず、できれば早めに医療機関を受診することをおすすめします。